17. パゴファギア


前までは ああだったのにな
なんて羨み よがらぬカレンダー
変わらないものにだけ
手を伸ばしたくなったのは情け

口角のある被写体が 街に居なくなった
本当に実態? ふしだらな期待
割れた卵の行方の様
せめて声だけはクリアに

網戸に付いていたテントウムシの
鳴く声に耳を傾けた

※いいですよ 弱い音を吐いても
世に名前が無い病だって
疼痛を明かんと思ったのは
確と名前のある僕だから
いつでも言ってくださいね
すぐに車を回します

落とさぬよう 抱いていたものが
要らないものだと知り 手放した
自由になった掌
勘付いてる ペーソスの漂い

エンドロールが流れた物語の先を
まだ続くと思った者だけにしか
オオルリは語りかけないと
禍事が露わにした

今日はどこで 何しようかの前に
21gが足枷に

※どうですか どこが痛いですか
こっちからは 顔が見えないから
いいですか 明日 朝起きても
晩まで立っていられますか
いつでも言ってくださいね
止められるのは 僕なんで

もうあの街には 戻れないと知らされても
「これだった」と懐かしめるように 忘れない
人はこんなにも 温かいものだったと

※どうですか まだいきたいですか
僕は そうですね そのつもりです
いいですよ 終わりにあるものが
「これっぽっち?」と思う量でも
乗り越えた痛みが 過程が
大切だと思うから
いつでも言ってくださいね
止められるのは 僕なんで

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