63. ぼっかてき
冷凍庫に入れてた 牛肉を冷蔵庫に移す
「おはよう」なんて 呟いてみて
1人で何してんだと 鼻で笑う
コンタクトがうまくはまらない
今日のファーストラウンド
敵は寝ぼけ眼にあり
鍵をかける
次にこの鍵を開ける時はどんな顔だろう
※悲しみや寂しさは
乗り越えるのものって思えないんだよね
寝て起きたら 忘れてる
能天気に幸せを感じれたらいいな
こんな人生でもいいよね 神さま
たまたま近くにいる人と
脳を使ってないような事務話
多分 二度と開かれないタンスに仕舞われる記憶
夕焼けのかけらもない夜に
「お疲れ」の一つもない人工の光
閉店間際の隅に置かれた
唐揚げのしなしなに心惹かれ
※悲しみや寂しさに
太刀打つぐらいなら 受け入れ身を委ね
耐えられないほど苦しい
今日ぐらいは 悲劇の英雄でいさせて
「頑張る」なんて言葉の鼾 横目に
ビールを取りに冷蔵庫を開けると
牛肉が「おかえり」と呟く
電子レンジの中で
鶏肉が元気を取り戻してく
眼鏡に反射する借景に 今日一の微笑み
※悲しみや寂しさが
合い挽き肉みたく 美味しくあればいい
味見で笑っちゃうように
次の幸せの 誘導係を担って
みんなの人生を彩るならここに
少しくらいなら居ていいよ
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