56. 霙

「初デート 場所 オススメ」でヒット
「自然と共に」を再確認
日が近づくにつれて高鳴る
この音が緊張じゃないはずがない
朝起きると 髪質で気づく 雨の詩
画面には 「今日どうする?」

※我関せずに降った雨は
僕たちの心を潤すのか 濡らすのか 湿らせるのか
泣かせて 笑顔 曇らせるのか
「世界から雨が消えました」
そのニュースが流れたとしても
笑い声と泣き声は同数でしょう

上京した娘からもらった
神楽坂ってところで買った和傘
東京では坂で傘が売ってるらしい
なんて夕飯の途中で流し見した
明日の天気予報「晴れのち雲り 降水量0mm」

※我が物顔で降った雨を
待ち侘びた人はゆっくり歩き
早歩きの末に濡れた ズボンの裾には憂鬱のシミ
内訳しすぎたこの世界は
数個の色だけじゃもの足りず
透明な雨にすら意味を付けていく

夕日を見つけた子供たちは 帰路に着く準備を始める
ネクタイを使わない職の私は 靴下の色を決める

※不幸を連れた不意の雨が
地面で跳ねて雫となって
あなたの幸せを隠す汚れを洗い流すでしょう
濁った水の水溜りの相手をするのは太陽だけで
蒸発して 雲になって
次はどんな事象を植えるのでしょう

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