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アートって難しい? 今日からあなたもモンドリアン
【約2,000文字】
アートってわかんないんだよなあ
線をひいて、色を塗ればいいんでしょ? これなら私にも描けるよって思う方! この記事を読み終える頃には、人生がちょっぴり豊かになっているかもしれません。
天才がその生涯をアートにかけて到達した絶景って、どんな景色だと思います?
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モンドリアンは生涯を通じて垂直線と水平線に憑かれていた画家である
これ見たことありません?
画家の名前は、モンドリアン! メキシコ人レスラーみたいですが、オランダの方です。
モンドリアンのすごいところは、過去の自分を超えるメンタル。自分が編み出した法則にとどまらず、次のステップへ進むことができるんです。
それは、あらゆる造形表現に共通する一般的な原理であるが故に、絵画にかぎらず、建築やデザインなど、その他の領域にも大きな影響を与えた。
彼のアートは、偉大な原理に到達しました。
モンドリアンの半生をテーマにした絵本(↑)は、こんな言葉で始まります。
「モンドリアンドリは、あたらしい 未来を さがしています。」
原理に到達した後も、肺炎で亡くなるまでアートのさらなる可能性を追求し、加齢を感じさせることなく生涯を過ごしました。どんな下積み時代だったと思います?
ピート・モンドリアン
1872年、オランダに生まれたモンドリアン。オランダの画家といえば、ゴッホが有名ですよね。モンドリアンもゴッホの模写をしたり、自分の作風を模索していました。
そんな彼が三十代最後の年にパリへ行く決心をします。なぜなら、パリにはあのピカソがいたからです。
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一見すると、ピカソやブラックといったキュビスムの影響を受けたように見えるかもしれません。でも、ちょっと違うんです。モンドリアンはキュビスムを超えます。
キュビスムの画家は、“アレを描こう”と思って、あの形になっています。ですが、モンドリアンは、“アレを分解”して、シンプルになった形だけを画面に並べているんです。
なんじゃい? って思いますよね。でも、これは絵画史において画期的な革新を意味するんです。¹
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この作品、私の解釈で恐縮ですが、プラスとマイナスが描かれています。この線で自然物を描こうとしたんじゃないと思うんです。
海や星空を見たときの体験、あの感じ。そんな印象を受ける絵なんじゃないかと。…いかがですか?
モンドリアンは、描かれた形そのものの個性を見出したんです。そして、もっともっと、掘っていきます。
掘り進めた先、そこはもう宇宙。宇宙なんすよ。…はい?
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モンドリアンのアトリエです。テーブルに一輪の造花があります。モンドリアンはその緑の葉も白く塗ったそうです。
意味は、芸術に捧げた自分の人生には女性が欠けているが、この花はその代わり、なんだとか。
…宇宙だなあ。
逆に展示してた問題
いやいや、やっぱりよくわかんないって? 私もです。実はアートの専門家たちもわかっていなかったかもしれないんです。
モンドリアン作品を75年間も逆さまに展示していた?! という事件がありました。
↗この絵? ま、どっちが上でもいいじゃん、と思われるかもしれません。私もそう思います。
パソコンの画面で見ても、とってもポップな印象を受けます。ですが、これは晩年の作品です。
~幾何学的な作品に比べれば、はるかに明るく、軽快で、若々しい。
ジャズが大好きだったモンドリアン。自身の作品のリズムについて、静止ではなく動きを感じさせるものにしたいと語っているんです。¹
天才がその生涯をかけて到達した絶景は、意外なことに景色ではなく、音の世界だったのかもしれません。
【祝45万人&もうすぐ2周年記念!】山田五郎 オトナの教養講座 第7回生配信 54分ごろ
※現在、モンドリアン作品が3点展示中♪
■information
京都国立近代美術館
2024年度 第4回コレクション展
会期:2024.12.06 fri. - 03.09 sun.
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00〜18:00 ※最終入場は17:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般 430円 / 大学 130円 / 65歳以上・高校以下 無料
事前予約:不要
所要時間:約45分
混み具合:たまに人がいる
写真撮影:可能(一部不可)
webサイト:https://www.momak.go.jp/
グッズたち
恥ずかしながら、最後に私のコレクションを少々。
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腕時計やエコバッグ、缶など、ついつい買ってしまって、たまに使ってニヤけているのですが、なんだかいいんです。
特に腕時計はなかなかのものです。電車を待っているときなど正確な時間がわからなくて困りますが、この余白が好きなんです。
幻想を作り上げるためには、作品の中に空想が働く余地を残すことが大切であった。¹
荷物がいっぱいだなあってときに「モンドリアン・エコバッグ!」と口にするだけで、力が湧いて、重さを少し忘れます。
¹:ザンネ・ダイヒャー『モンドリアン』(ソフトカバー)TASCHEN、2005
:高階秀爾「名画を見る眼Ⅱ」岩波新書、1971
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![入江玄 アートライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156084542/profile_1fb666a8d50cb5395ea9bb7060da6fab.jpg?width=600&crop=1:1,smart)