#658 構造的理解を意識する
ブラックボックスとは、内部の動作原理や構造を理解していなくても、外部から見た機能や使い方のみを知っていれば十分に得られる結果を利用する事のできる装置や機構の概念のことです。
スマートフォンの構造を理解できる人は非常に少ない一方、その機能を使える人は数多くいる状態が、まさにブラックボックスと言えるでしょう。
様々な技術革新が矢継ぎ早に起こる現代社会において、今ある多くの技術はブラックボックス化しています。
この世には無数の学びがあり、私たちはそのほとんどを知らぬまま、現世を離れなければいけません。その機能の理解と使い方を取得すれば、自分が生業としている多種多様な作業を、より効率よく、より効果的に行うことができます。
しかしながら、その機能「のみ」に着目していると、その物事の本質を見極める癖がなくなるのではないかという個人的な不安がある。
小学生の時になぜファックスなるものが成立するのか非常に疑問に思った私は、未だその謎が理解できぬまま、ファックスを通り過ぎてしまいました。
ファックスの動作原理を理解することは決して今の私には不可欠なものではないですが、ファックスの動作原理は何だろうと疑問に思う力は不可欠なのではないのかと思ったりします。
自分が本質的に理解できぬものを、その機能のみに着目することを続けていけば、いつか何か反動のようなものを、自分が受けるような気がしているのです。
私は、原理をわからぬままに、その技術の恩恵を享受することに対して、恐怖を感じているのかもしれません。