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kumokesu
#450 「凡庸」の虚しさ、哀愁、そしてちょっとした憧れ
先日、第76回(2023年)カンヌ国際映画祭において、俳優の役所広司氏が主演男優賞を受賞した作品、「PERFECT DAYS」を見にきました。
この映画には「刺激」がありません。大きな展開はなく、役所氏が演じる、東京の小さな街にすみ、トイレの清掃員として働く「平山」の平凡な男性の暮らしを描いているだけ。
だけど非常に面白い。何か心を掴まれる感覚がある。「平凡」の中にも、その人だけの物語があり、バックグラウンドがあり、人生を変えたかもしれない転機がある。
「平山」は、この世の中に存在する私たち一人ひとりの「分身」なのかもしれない。映画の中で丁寧に細部まで描かれる彼の毎日の何気ない日常の繰り返しは、その凡庸さに対する虚しさと、それをどこかで求めている私たちの心の有り様に寄り添ってくれる。今年の私のテーマは「日々を丁寧に生きること」。そのテーマの難しさを、映画からまた教えてもらった気がします。