見出し画像

#291 AI時代だからこそ必要とされる「職業の再定義」と人としての学び

 私たちは生きるために一定の経済力を持たなければなりません。「職業」とはお金を稼ぐツールであると考えられるし、そのツールを持つために学ぶという側面もある。

 時代は高度情報社会。生成AIの誕生によって既存の「職業」の49%が2050年までに消え去ると言われています。今までは既存の職業の中から自分が就きたいものを選び、逆算的に学びを進めていくことが一般的でありました。しかしこれからは、まず自分自身で「職業というものを生み出すこと」が求められています。しかしながら、「職業を生み出す」とは、「新規の職種・職業を創造する」ことだけではありません。既存の職業の、その職業的価値を見直すこと、つまり「職業の再定義」もまた新たな職業を生み出すことと同義であると考えます。

 リクルート スタディサプリ教育AI 研究所所長で、東京学芸大学大学院教育学研究科准教授の小宮山利恵子氏が「鮨 銀座おのでら 登龍門」のカウンターに立っているという記事を見つけました。

 小宮山氏は「ここ数年、AIが取って代わる仕事は何か、逆にどのような仕事ならば取って代わられないか、という話をしてきた。口で言うより自分でやってみた方が説得力が増すのではないか」とすし修業を始めた理由を語っています。

記事の中における小宮山氏の言葉には現在の学校教育に必要とされる要素がたくさん。

「テクノロジーの進展が早く、過去の知識について本質的なもの以外は更新し続けていかないと通用しなくなっていると感じる。学び続けないと生き抜けない」

「AI、特に生成AIの登場で何が変わるのか。何事も再定義が必要になってくる。仕事とは何かなど、全てが再定義されるのではないか」

「できる限り自分が素人である領域にチャレンジすること」

「勇気を持って一歩踏み出し、試行錯誤する人がAI時代は生き残れる」

「修業をして身に染みて感じたのは、すし修業は突き詰めると人間修養なんですよね。いくら技術を身に付けても、そこに誠意がこもってなければおいしいものは提供できない」

 同氏の言葉を読み解く中で私が感じた共通点は「私たちは人間である」ということ。それは与えられたタスクを指示通りこなすことではなく、自ら課題を見つけ考えること。いかなる職業の仕事でも、そこに人間的な思考が存在しなければ、たちまち生成AIにとって変わられる。しかし「私たち人間がやる意味とは何か」という問いが職業を再定義することに繋がり、結果生成AIにはできない新たな価値を創造することに繋がるのだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?