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【救国のスネジンカ】※巴 武蔵の最期についてネタバレあり

君は「ゲッターロボ」というアニメ・漫画作品をご存じだろうか?

いやいや待て。
まあ待て。
ちゃんと新作ゲーム「救国のスネジンカ」の話もあとでするから!
一旦待て!
そして少しだけ、ゲッターロボに登場する「巴 武蔵」の話を聞いてくれ。

これが巴 武蔵だ。ダッセエ恰好をしているのは、昔の作品だからではない。本人のセンスの問題だ。
だが、その見た目と裏腹に、凄い根性と魂を持った男なのだ。
「ゲッターロボ」はパイロット3人で動かすスーパーロボットであり、巴 武蔵はそのパイロットの1人だ。

他のパイロットが出撃できない時に敵の総攻撃を受け、巴 武蔵はただ1人でゲッターロボに乗り込み、敵陣に突撃した。
本来3人乗りの機体を、単身で必死に動かして、まさしく鬼神のように武蔵は戦って、戦って、戦い抜いた。
そして最後の最後、もうどうにもならないって時に、武蔵はゲッターロボの炉心を引き抜き、敵の大群もろとも盛大に自爆して死んだのだ。(※メディア媒体によって展開は異なるが、大体どのバージョンでもこんな感じで武蔵は死ぬよ

巴 武蔵のように、自らの死に際して、クソッタレの敵どもに、世界に、一矢報いて果てるキャラが好きだ。
俺は大好きなんだ。

似たような存在を他にもう1人紹介するなら、「クロスボーンガンダム 鋼鉄の7人」に登場する「ギリ」がいる。
「ギリ」はもともと主人公の敵サイドにいた存在で、決して正義の味方ではない。
属性で言うなら「混沌・悪」かもしれない。
それでも、この最後の戦い「鋼鉄の7人」においてだけは、主人公の味方として戦ってくれたのだ。
ほとんど生還は望めない作戦だったのに。
当然、敵戦力との差は圧倒的で。
四肢さえ失った、もはやボロボロの機体のコックピット内で、彼はニヤリと不敵に笑って、

「貴様らの…邪魔をしてやる…!」

と言い捨てて、敵の最終兵器・コロニーレーザーへと決死の突貫をかけたのだ。
その最後の抵抗は、レーザーの軌道をほんの僅かにズラし、確かに敵の計画を挫くことに成功したのだった。
うぐぐ、書きながら涙が滲んできちまうよ。
ぎ、ギリィー!
お前のビギナ・ギナⅡが一番カッコいいよ!!!!

まるで勝ち目のない戦いに、自らの命をもって一縷の勝ち筋を無理やり作り出し、後に託すのって、何よりカッコいいよな。
他にそういうキャラ・作品を知っていたら、ぜひコメント欄で教えてくれ。
ネタバレしてもらっても私は一向に構わんよ。

さて、ここからはつい先日配信開始されたゲーム「救国のスネジンカ」の話をしよう。
お待たせしてしまってすまないね。
でもどうしても、先に巴武蔵とギリの話をしておきたかったんだ。

●「救国のスネジンカ」ゲーム概要

「救国のスネジンカ」は、以前プレイして感想noteを書いた「溶鉄のマルフーシャ」の続編だ。

どうかな、俺の当時の絶望が伝わってくるだろう。
記事を読むと、どうやら1周はクリアしたようで、もう1周くらいプレイしようかな、などと書いてあるが、
あまりの希望の見えなさに、結局2周目をプレイすることは無かったのだ。

「溶鉄のマルフーシャ」は、戦時中に徴兵された主人公の少女マルフーシャを操作して、毎日襲い来る敵機から拠点を防衛するという、シューティング・タワーディフェンスゲームだ。成長のランダム要素があるから、ローグライクでもあるな。
マルフーシャはもともとパン屋さんだったが、銃器の扱いについて天性の才能があり、優秀な兵士として毎日敵機を撃退していく。
そして100日間、拠点を守り切ったら晴れてエンディングだ。
しかしそのエンディングに救いがない!!!!
結局、どんどん苦しくなる戦況の中、マルフーシャは妹のスネジンカのもとに帰ることもできず、無為な戦いを続けなければならないのであった。仲間をどんどん失いながら…。

今、スネジンカの名前が出たことに気付いたかな?
そう「救国のスネジンカ」は、マルフーシャの妹であるスネジンカが、戦場から帰らぬ姉に再会するために、自らもまた戦場に身を投じるというストーリーなのだ。

ゲームの概ねの流れは変わらない。
民間軍事会社の社員になったスネジンカは、毎日襲い来る敵機を撃退し、僅かな給金を得て、その給金で強い装備や能力上昇、長い犬などを購入して、戦いを続けていく。
ローグライク・シューティング・タワーディフェンスゲームだ。
システムとしては次項で記すように、当然こちらの「救国のスネジンカ」の方が洗練されているが、ストーリーをより楽しみたいならば、君は「溶鉄のマルフーシャ」を一度味わうべきだろう。
一応リンクを貼っておくので、未プレイ者はまずここからマルフーシャと地獄に付き合ってもらいます。

●前作からの進化点
 

先に書いておくが、「救国のスネジンカ」の悪い点は、やってて辛い気持ちになることです。
 救いは…救いは無いんですか!(そこに無ければ無いですね)

 しかし逆に、プレイ感は前作よりもよくなってしまった!
 すごく快適にプレイできてしまうんだよ!地獄をな!

 まず、俺は前作の(システム上の)欠点として、大きく2点挙げていた。(※ストーリーは考慮しない)

① やることが毎日同じなので、ゲームプレイが単調になりがち
② 世界観はディストピアで、税金等でめちゃめちゃ給料を減らされるのに、最終的にはお金が余る

 この両者を、「救国のスネジンカ」は克服している。
 それは何より、ローグライク要素の強化によるものだ。
単純に言うと、毎日選べる選択肢(カード総数)がめちゃめちゃ増えた。
 
    能力を上げるか?
 仲間を増やすか?
 新しい武器を得るか?
 消耗品を購入するか?
 ランダムカードに賭けるか?
 犬を長くするか?
 
 これにより、お金の使い道が増えたので、減っていく給金もあわせていつもギリギリの社畜生活を楽しめる。
 お金が余るより、ギリギリの方が楽しいって不思議だけど、事実だからしょうがない。

 購入できるカードは、毎日ランダムで3枚が提示される。
 カード総数が多いため、武器や仲間カードは一期一会だ。

今、武器の耐久度はまだ残っているけど…
明日以降、武器を購入できる選択肢が出るかは全くわからない。
しょうがないから、高いけど今、新しい武器を買っておくか!

…みたいな状況が多発するため、得意な武器種があろうとも、今あるもの(買えたもの)を使わざるを得ないことが多く、戦い方をそれにより工夫する必要があり、プレイに刺激を与えてくれる。

 また、電車の上や、戦車戦、籠城戦など、プレイステージも刻々と変化していくため、単調だったプレイ感も、もはや過去のものだ。

 そして、前作でも凄まじかったディストピア感も健在で、

毎日の給金が額面上60万円あるのに、

 社会保険料の増額や、
 インボイス制度や、
 独身税や、
 予定納税制度(来年の分の税金を、先に払わなければならない!)の導入

 などにより、手取りが3万円とかになる。
 
60万円が3万円だぜ。
 すげえ国だろ?絶対住みたくねえ。
 などと言いながらも、俺も現実の自分の給与明細を見てため息をつくのである。
 …いや!いい国だよ日本は!なあ!…なあ!同意しろ!

●アブレックお姉さん(この項目にはネタバレが含まれています。)

 このゲームは基本的に辛い日々の連続だが、癒しの存在として、

① 上司のダチカちゃん
② 長い犬
③ 1人だけ選べる味方キャラ

が用意されている。
 
 もちろんダチカちゃんと長い犬の可愛さについては、プレイした人の共通認識だと思うので、詳しくは語らない。
なので③について語らせていただくが、前述したとおり、このゲームでは武器も味方キャラも自由に選ぶことなどできない。
一期一会だ。
なので、運よく選択肢に味方キャラが登場した場合、優先して選択することをオススメする。
やはり1人より2人。単純に、同時に撃てる弾が増えるというのは頼もしいことこの上ない。
 また、10日に1度与えられる休息時に、ほんの少しだけ仲間との会話ができるのも心温まるものがある。

 さて今回、俺が仲間として日々を過ごしたのは、先輩のアブレックお姉さんだ。

 ああ、こいつまたお姉さんキャラを選びやがったな…、はいはい、いつものいぷしろ、などと思われたかもしれないが、違うってば!
 さっきも言ったけど、基本的に仲間を選り好みできるゲームじゃないんだって!
 たまたま、アブレックお姉さんが最初に選択肢に出てきてくれたんだって!
 本当です!信じてください!

 でも本当に良かったな。最初のエンドをアブレックお姉さんと迎えられて。
 素直にそう思う。
そんな、いいお姉さんだったよ。

 アブレックお姉さんは、おそらく20代前半で、もともと教師をしていたらしい。
 だから、ティーンエイジャーのスネジンカちゃんをとても可愛がってくれる。
 後からキャラクター設定情報を見て知ったのだが、好きなものはチョコレートだそうだ。
 しかしゲーム中で、アブレックお姉さんは惜しげもなく、貴重なチョコレートをスネジンカちゃんにくれて、元気づけてくれたのだ。
 こんなクソみたいな国で、クソみたいな会社で、クソみたいな戦いを強いられているのに、それでも他者への思いやりを持ち続けられたアブレックお姉さん。俺はいつしかアブレックお姉さんが大好きになっていった。

 実はアブレックお姉さんは、教師時代に、爆弾を自作して逮捕されたことがあるらしい。
 「爆弾魔(ボマー)」に気をつけろよ。
 なぜ爆弾を作ったのか?その理由は明らかにされない。
 だがしかし、アブレックお姉さんのことだ。
 きっと誰かのために、何か大切なことのために、そんなことをしたんだろう。
 俺はそう信じている。
 
 しかし終盤、2人は廃墟に追い詰められて、アブレックお姉さんは重傷を負ってしまう。
 「銃を撃つことくらいはできるから…」
 彼女はそう言い、スネジンカちゃんを後方から必死に援護してくれるのだ。

 そして。
 最後の最後。
 もう、どうにもならなくなった、100日目。
 
 アブレックお姉さんは、スネジンカちゃんを、裏切るのだ。

 スネジンカちゃんを気絶させ、彼女は投降する。

 彼女は敵陣の真ん中に赴き、その旨を伝える。

 敵兵士たちは「さすが爆弾魔のアブレックだ」と嘲笑し、裏切りを称賛する。

 それを聞き、彼女はにっこりと笑い、

 敵陣の真ん中で、


 そうだ。

 彼女は、爆弾魔のアブレック。

 

 そしてスネジンカちゃんが起きた時。
 
 不自然なほど、包囲網は緩かった。

 敵の数も、大きく減っていた。

 そして。

 当然、アブレックお姉さんは、もうどこにも、いなかった。


「救国のスネジンカ」

 買え!
 同じ地獄で、待つ!


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