ESXiからの移行にはProxmoxがお勧めです
はじめに
こんにちは。中の人3号です。
VMwareがBroadcomに買収されたことでESXiを無償でゲットすることができなくなりました。
今無償版のESXi で動いているものはサポート終了まで稼動はできますが、いずれはライセンスを購入してアップデートするか別の仮想化基盤に移る必要が出てきます。 弊社ではESXi からの移行先としてProxmox を推していますが、Proxmox の何が良いのかをここでは解説したいと思います。
ESXiについてのおさらい
ESXiが無償利用できなくなった!
BroadcomがVMwareを買収してからの顛末をまとめてみます。
Broadcomから何か発表がある度にニュースやSNS上に怨嗟の声が溢れていた記憶があります。
無償ライセンスは完全に廃止となったため、現在では過去に無償ライセンスを取得した製品はライセンスコードの表示もダウンロードも不可となっています。
ESXiを継続利用する上での問題点
入れ直しができない
現在はESXiをダウンロードできないので、以前取得したイメージが残ってないと入れ直すこともできない。ライセンスに問題が出るかもしれない
無償利用不可になる前から動いているものは問題ないが、入れ直したものはライセンス的に大丈夫なのか不安がある。
今までは気軽に無償版ESXiで評価・検証を行い、本番環境では vSphere Essentials Kit を利用するといったことも行われていましたが、今後の評価・検証では評価版を代理店から入手する必要が出てきます。
Proxmoxとは
Linux KVMを使用した仮想化基盤を提供するOSです。 通常のLinux ディストリビューションでもlibvirt(virth, virt-manager)を使って仮想マシン管理を行うことができますが、 Proxmox では仮想マシン周辺の設定を全てウェブ経由で行うことができます。 またクラスタを簡単に組むことができるため、小規模なシステムでもクラスタ化してリソースの有効利用や耐障害性の向上が見込めます。 フリーで提供されていますがサポートもあり、サポート契約するとパッケージ更新のレポジトリが別途用意されます。 Proxmox 公式サイトでは商用利用時のサポート利用を勧めています。
Proxmox v.s. ESXi
仮想化基盤の機能を比較していきます。
※1 :準仮想化も併用 (一部のドライバ)
※2:機能的な差はほとんどない
※3:Proxmox VE で DRS(Distributed Resource Scheduler)を実現する #proxmox - Qiita
Proxmox はESXi 単体で提供している機能だけでなく、vCenter が提供している機能も一部提供しています。 仮想マシンの移行でネックになりそうなディスクコントローラやNICはESXiと互換のデバイスを用意しているので、ディスクイメージを変換できれば起動できます。
ESXi からProxmox への移行
Proxmox 自体にESXi から仮想マシンを移行する機能が内蔵されているため、比較的簡単に移行を行うことができます。
Proxmox のクラスタ管理からESXi のストレージを追加する
Proxmox のノード管理からESXi ストレージを参照し、仮想マシンイメージ(vmx ファイル)を選択。”Import” ボタンを押して仮想マシンをProxmox のストレージ上に移す
仮想マシンの移行が完了したら試しに起動する
ここでハードウェアの認識に問題が出ることがある(特にNIC)。状況を見ながら修正していくアプリが正常に動くか確認する
手順としてはこの程度で移行ができます。とっても簡単ですね。
Proxmoxのメリット
フリーである
インストールISOをダウンロードしてインストールするだけで使用できるのは大変助かります。 商用利用ではサポートを契約した方が良いとは思いますが、なくてもとりあえず動かせるのもありがたいです。対応するストレージが多い
Linux がサポートするファイルシステム(ローカル、ネットワーク、分散)は大抵利用可能です。 iSCSI も利用できますし、ドライバがあればFCも利用できるはずです。ウェブで管理ができる
他のLinux KVM を使った仮想化基盤もありますが、ウェブで管理できるものはあまりありません。 (私の知る限りでは Cockpit ぐらい) リモートから管理する場合、ウェブベースの管理画面だと接続が楽です。クラスタが組みやすい
クラスタの設定もウェブから簡単にできます。ESXi + vCenter Sever に近い機能を提供
仮想マシン起動中にノードを移動することもできますし、ディスクも起動中にストレージ間移動することができます。
Proxmox のデメリット
ドキュメントが少ない
利用されるようになってからそれなりの期間が経過していますが、まだまだドキュメントが少なく感じます。 特に日本語のドキュメントはそれほど多くないように思えます。 不具合が出ても簡単には類似例に辿り着かず、なかなか原因がわからないこともありました。アップデートが面倒
複数のソフトウェアの組み合わせで出来ていることもあって、クラスタを組んでいる場合は単純にアップデートしてリブートだけでは上手くいきません。 アップデート→特定ソフトウェアのリスタート→別のノードのアップデート→特定ソフトウェアのリスタート→…→仮想マシンの移動→各ノード再起動といった流れで行わないと仮想マシンの移動ができなくなって、稼働中の仮想マシンを全て止めてノード再起動を行うことになりかねません。
何故Proxmoxを使うのか
費用
まず フリー なのが一番の理由です。Proxmox で検討してやっぱり別の方法を取ろうとなっても、仮想化基盤そのものに費用は発生していないのでコストは最小限で済みます。
機能実現の自由度
次に Linux KVM ベースで作られているので、Proxmox の作法ではやり方がわからない機能であってもベースとなる技術に立ち戻れば実現できるかもしれません。
ソフトウェアの保守状況
開発も活発に行われているので機能やセキュリティの面でも大きな問題は出にくいと思います。
例えば同じような仮想化基盤の Microsoft の Hyper-V を利用する場合、フリーにして若干古めの Hyper-V Server 2019 を使うか有償の最新版であるWindows Server 2022 の Hyper-V 機能を使うかを選択することになります。
Linux KVMベースでの比較の場合、ウェブで管理ができるのは大きなメリットです。
みんなProxmoxを使おう!
無償版ESXiが使えなくなって困っている人は沢山いると思いますが、Proxmoxはその代替になりうる存在です。 ドキュメントが少なくてとっつきにくいですが、みんなで使えばノウハウも溜まって直にESXi並に使えるようになるはずです。 皆さんもProxmoxでフリーな仮想環境を立ち上げてみませんか?