見出し画像

論文メモ : 前職の離職理由は新しい職場における不と関連する? [西村(2007)]

研究のポイント

  • 離職理由として仕事の幅を理由として挙げている人の83%が、入社後は組織条件(仕事のやり方/進め方,当該職種の 会社内での位置づけ,組織規模,職場の雰囲気、情報の獲得方法)に不満を持っていた。

  • 離職→求職→転職後は個別で捉えるだけでなく、転職者の視点で連続的に研究する必要がある。(1)前職と類似した経験が,必ずしもスムーズな社会化を促進するわけではない。(2)面接段階において企業と転職者双方が,スキルベースでの採用にフォーカスするあまり,組織条件が看過される可能性がある。(2)前職と同じ職 種ゆえに転職後に組織条件の比較が容易。

著者

西村 孝史 https://www.nishimuratmu.org/

  • 東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 経済学コース・経営学コース

  • 人的資源管理論(人材マネジメント),組織行動論


個人的メモ

  • 離職理由と求職の方向性、さらにはそこから生じる転職後の立ち上がりまでのハードルは連続して捉える方がよい。特に、求職者と採用側の両方がフォーカスしがちなポイントと、両方が抜けがちなポイントを理解する必要がある(アンマッチの原因/ラーニングのポイントとなる)。本論文で取り上げられた、仕事の幅を広げたいという理由以外の離職理由においてどうなるのかは要検討

  • そもそも、求職者と採用者が採用プロセスにおける力学の全体像についても整理しておく必要がありそう。注意してみている/見ていないポイント・積極的に開示する/開示しない情報。フラットにすり合わせやすい項目と、駆け引きが起こりやすい項目等。

  • 今回の事例では、離職理由は「仕事の幅」「勤務地」「仕事と家庭の両 立(work and life balance :W&L)」「他職種への転換希望」に集約。ちなみに仕事の幅とは,「現在の仕事を続けていてもより高いスキルを得ることができないと認識した場合や,会社の業態・資本関係上,一定の 仕事までしか請け負うことができずスキル向上に頭打ちを感じており,自らのスキルを方向転換させたいと考えている場合など,自らの有している現在のスキルを伸ばしたい・活用したいという思いから生じる理由である」としている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?