ピンクTシャツ
⭐️⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)
僕は自分自身がピンクのTシャツを着たり、
また着ている人を見たりすると
毎回思い出してしまう出来事がある。
今日はそれについて書いていきたいと思う。
僕が中学生の頃、
勉強合宿という
宿泊行事があった。
学年みんなで
大阪のある施設に行き、
ただただ集中して勉強をする。
そんな行事の予定だったが
もちろん勉強だけで済むはずがない。
僕たちは中学生だ。
勉強合宿 初日
バスに乗り、学校を出発した一行は
40分程かけて施設に到着した。
2人組に分かれて部屋に移動する。
僕は今でも仲のいい親友と
2人部屋だった。
気心が知れている。
部屋の中で
トラブルが起こる事はないだろう。
僕はある程度安心していた。
部屋で各々が荷物を下ろすと
大部屋に集められ、
早速授業がはじまる。
いつもの授業よりも、
内容が中高一貫校に
所属している僕ら向けに寄せられていた。
僕たちは高校に進学するためには
特殊な試験を受けないといけない。
完全にそれ用の勉強だった。
1時間目が終わると昼食の時間になった。
食堂に移動し、
クラスごとに長机に座る。
僕は中心から少しズレた席に座った。
今日の昼ごはんはカレーライスか。
ほぼ全員が席に座る。
僕の隣が空いていた。
誰か来るんかなぁ。
ぼーっとしながら考えていると
同じクラスの女の子が隣に座った。
うわっ
その子は僕が当時
想いを寄せていた子だった。
隣きたやんおい!
勉強合宿どころやないでこれ!
僕はなるべく意識しないよう
周りと話しつつ
不自然さが露にならないよう
その子とも話した。
元々仲が良かったこともあり、
会話も弾んだ。
お昼の授業がはじまった。
隣の席は同部屋の友達
「おい、お前さっき〇〇ちゃん隣やったな」
「そうやな」
あまり興味なさそうに返した。
「わざと隣行ったんやろ?」
「そんなわけないやろ!向こうから来た」
そんなわけないやろ?
向こうから来たのは事実だったが
よくわからない返しをしてしまった。
長い長い授業が終わり、
晩ご飯の時間になった。
その日の献立は覚えていないが
おそらく鍋か何かだったと思う。
席に着く。
するとまた隣にあの子が座った。
周りを見渡すと
昼と同じようなメンツが固まっている。
なるほど。
席は確かに固定されているわけではないが、
もう既に1回、
この陣形で座ってしまっているため
皆の中に
同じ席に座らないといけないという意識が
ある程度
インプットされているということか。
(冷静な分析)
ラッキー
(急に知能レベル下がった)
あっという間に夕食を摂りおわり
部屋に戻る。
同部屋の親友とエレベーターに乗り、
部屋に戻ると
順番にシャワーを浴びた。
お互いのベットに寝転び
しばらく話をする。
ただ
「お前って、誰が好きなん?」
みたいな感じにはならない。
僕たちは親友だ。
そのレベルの事は
お互い知り尽くしている。
「また席隣やったやん」
親友が言ってきた。
「まあな」
「なんか行動起こさんの?」
確かに
親友の言うことは最もである。
せっかくの機会だ。
動くべきだ。
「でもさ、勉強合宿やろこれ。
どっか観光とか行くわけでもないしさ。
そこで一緒に写真撮ろとかもないわけやん?
そんな状況下でどうするかっていう問題なんよ。
ていうかそもそもさ、ほとんどの時間授業やろ?
まあ休み時間あるけどさトイレ行って水分補給したら終わるやん?
俺トイレ近いやん?
ほんならまともに話せるのは飯の時間だけに限られてくるわけよ。
その限られた時間でどうするかなんよ。」
めちゃくちゃ喋ってしまった。
「まあなぁ。」
親友から短い返事があった後
結局いい案は思い浮かばず
その日は2人とも眠りについた。
次の日
朝食を摂り、
そのまま授業に入る。
例に倣って席は隣だったが
眠たすぎてほとんど話せなかった。
1時間目の授業が終わり、
昼食
またほとんど話せなかった。
勉強合宿は2泊3日だ。
タイムリミットが迫っている。
お昼からの授業がはじまった。
その日は
全ての授業が終わった後、
夕食を摂り、
部屋に帰って各々が風呂に入った後
もう一度全員が食堂に集まり
ミーティングのようなものが行なわれる。
あと2回話せるチャンスがある。
その時に何か行動を起こさないといけない。
お昼の授業が終わり、
夕食も終わり
部屋に戻って
風呂に入る。
授業内容はほとんど頭に入っていなかった。
親友が風呂に入っているあいだ
部屋で服の整理をする。
親友が風呂を上がった音が聞こえた。
「何してん?」
「荷物まとめてんねん」
「集合何時やっけ?」
「あと20分くらいやろ」
次会う時は
さすがに何か行動を起こさないと
この勉強合宿は何もなかったで
終わってしまうかもしれない。
黙々と荷物をカバンに詰める
「お前それええやん」
ん?
親友の方を見る
「お前のそのピンクのTシャツ
それええやん。」
僕はその時ピンクのTシャツを
カバンにしまおうとしていた。
寝巻き用に余分に持ってきてきた物だが
結局使うことはなかった。
「それ着ていきや。絶対なんか反応あるで」
え?
これなのか?
思いもよなぬ武器がここにあったのか?
それでも僕はまだ少し疑いを持っていた。
ピンクの服でいい反応がくるとは思えない。
「ホンマにこれ?あってる?」
「絶対それやろ。それしかないって。」
親友の確実性を持った
ハッキリとした物言いに
説得された僕は
ミーティングで
ピンクの服を着て行くことに決めた。
数分後
食堂に集まった僕たちは
学年主任の話を聞き
解散になった。
部屋に戻る時
たまたまエレベーターで
僕が気になっていた子と2人きりになった。
なんだこれは!
早速効果発揮してんちゃうんこれ!
かなりテンションが上がった状態で
エレベーターに乗り込む。
すると
なんと向こうから話しかけてきた。
「なんなんその変な服」
なんなんその変な服!!!!????
「変な色やなそれ」
変な色?
ピンクがダメなのか?
「なんで数ある服の中からそれを選んだん?」
玉砕
部屋に帰った僕は
話しかけてくる親友を
完全に無視して眠りについた。
ピンクの服を見ると
今でもこの出来事を思い出してしまう。
皆さんもピンクの服着用の際は
お気をつけ下さい。