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#5 東武東上線ゆる散歩旅~中板橋~

池袋から東武東上線の各駅停車に乗ったとき
急行の通過待ちで長く止まる駅

開けっ放しのドアから
夏はジットリとした熱風が
冬はキンキンに冷えた寒風が吹き込む

それが私の「中板橋」駅の印象だ

今回の東武東上線ゆる散歩旅
5番目の駅「中板橋」

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「今日は気温がぐんぐん上がります!」
という天気予報の言葉を信じて出てきたのに
期待に反して冷たい風がカラダに刺さる(汗)

さて・・・どこへ向かおうか???

地図を片手にあてもなく散策していると

散歩を始めて10分もたたずに
小さなかわいいベーグルショップが現れた

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周辺のお店とは明らかに空気感が違う
こじゃれた雰囲気の店舗だ

「AOYAGI BAGEL」

ショーケースにはツルッとピカッとした
弾力のありそうなベーグルが数種類
クリームチーズが挟んでるものも・・・

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こだわりは国産小麦らしい

テイクアウト専門店だから
その場で食べる感じでもないが
ベーグル好きとしてはスルーできないご縁

フラフラと店に引き寄せられて
明太チーズとベーコンチーズを買ってみた

ずっしりとしたベーグルの重み
袋のすき間から香るチーズの匂い

はじめて歩く街で見つけた
知る人ぞ知る的なパン屋さんでの買い物に
なんとなく気持ちもアガる

「今回の散歩旅・・・幸先良さそう♪」

通りの突き当りは旧川越街道
通称「下頭橋(げとうばし)通り」

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この下頭橋という変わった名前
諸説あるそうだが

昔、川のたもとで長く物乞いをしていた
六蔵さんというおじさんが亡くなったときに
懐から出てきたお金をもとに川に橋を架けた
という言い伝えがあるらしい

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六蔵さん・・・もらったお金を使わずに
大切にとっておいたんだね

本人の望むお金の使い道は何だったのか?
それはもう誰も知るところではないが
こうして数百年経っても語り継がれるのだから
人生って分からないものである

ここからは環状七号線沿いを歩いて
都営三田線の板橋本町方面へ・・・

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違反車両を捕まえる?警察官が
あちこちに立っているが
彼らも朝の天気予報を信じて出てきたのか
かなり寒いのにやたら薄着だ

寒そうに肩をすくめて
スリスリ腕をさすっている(笑)

そういう私もコートのライナーを
付けてこなかったことを大後悔しながら
警察官を見て苦笑い・・・

そうこうしているうちに板橋本町に着き
裏道へ入ったところに数人の行列?

ここは「縁切榎」

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その名の通り縁切りで有名な神社

普通に歩いていたら見逃してしまいそうな
小さな祠だが・・・これが結構人気(汗)

というのも
この縁切榎のパワーは絶大らしいのだ

お嫁入りのときにここを通ると
ご縁が長く続かないということで
迂回路を作って歩いたといわれるほど!?

今もあらゆる悪縁(禁酒や禁煙も)を
切りたい人が平日休日問わず並ぶそうで
この日も5~6人が参拝に来ていた

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ここの絵馬はなんと
書いた後に保護シールで隠せる気遣い

そりゃぁ人に見せられないような
悪縁切りの願いを書いた絵馬ならば
隠しておくのが正解だろう

・・・何気なく見た絵馬に
自分の名前でも書かれていたもんなら
なんて考えるだけで怖くなる(汗)
ショックで生きる気力が無くなりそうだ(汗)

縁切榎のある通りは
仲宿商店街に通じる道

今でこそ
その面影はわずかにしか見られないが

江戸時代には2,000人以上が暮らし
旅籠屋、かご屋、料理屋などが並び
活気のあるエリアだったらしい

と・・・どこからか
バターのいい香りが漂ってきた

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石神井川の橋のたもとに見つけたのは
美味しそうなワッフルの露店

その名も「橋の横のワッフル」

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とても分かりやすく忘れにくい名前だ(笑)

鉄板焼き屋さんが昼間
店舗の前でやっているらしい

ちょっと小腹も空いてきたので
ここでひとつ買うことに

大好きなシナモン味のワッフルを注文して
「すぐに食べながら歩きます」と言ったら
わざわざ焼きたてのカリッとしたのを
食べやすいように包んでくれた

クロワッサン生地を使った
焼きたてのワッフルをパクつきながら
誰も歩いていない石神井川沿いを散歩

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この川沿いは桜の季節になると
素晴らしい桜並木が楽しめる場所
地元では有名なお花見ポイント

しかしこうして気持ちよく晴れた日に
遊歩道を貸し切り状態で歩きながら
おいしいおやつを食べることの
なんと贅沢なコトか!!!

桜が咲いていれば
ピンクの花をたわわに咲かせて
川を彩る枝にしか目が行かないし
混雑する人を避けることに
気が取られそうなものだが

この季節に
だれもいない川沿いを
ひとりでのんびり歩くからこそ
気づける景色やモノがある

アパートの玄関先に置かれた
幸せそうなうさぎのオブジェ

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桜より一足先に花を咲かせている
民家の庭先の紅白の梅

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釣り堀公園で糸を垂らしながら
雑談を楽しむおじさんたち・・・

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この辺りだけ時間の進みが
ゆっくりになったような空気感

人も景色も聞こえる音も
ぜんぶぜんぶのんびりだ

と・・・見えてきたのは
中板橋の商店街
ゴールも間近になってきた

この商店街に
今回の散歩で行ってみたかった店がある

「坂井善三商店」

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昭和27年の創業時に
新潟から木材と大工さんを呼び寄せて
お店を建てたという漬物屋さん

店先の看板がなんともフレンドリーで
「漬物屋」という地味なイメージが
感じられない雰囲気に惹かれる

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季節の野菜の漬物は
定番の白菜や大根だけでなく
トマトやアボカドなんかの変わり種も♡

せっかくなのでここは珍しいものを・・・

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柚子ジュレトマト
長芋甘口醤油漬け
アボカドの糠漬け
半熟卵の糠漬け
を買うことに

お支払いのときに
おいしい食べ方を教えてくれた店員さん

言葉を交わすだけで
元気になれてしまうような人

このお店の魅力は漬物だけじゃない
お店の人の人柄がそのまんま
漬物の味になっている・・・そんな感じだ

うん、坂井善三商店にまた来よう!

駅に向かって商店街を前進

ワッフルを食べたとはいえ
さすがにお腹が空いてきた(笑)

時計を見ればもう1時

とりあえず寒い・・・
何かカラダがあったまるものを・・・

そう思っていたら
小さなうどんやさんが目に飛び込んできた

「讃岐うどん やまと」

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そういえば
チェーン店のうどんは食べることがあっても
こういう個人経営のお店のうどんって
あまり食べる機会がないかも???

扉を開けるとお出汁のいい香り♪

カウンターや4~5席と
テーブル席が8人分ほどのお店

テーブル席にはサッカー帰りの親子が
仲間たちと一緒においしそうに
あったかいうどんをすすっていた

カウンターに通されて注文したのは
釜玉うどんと茄子の天ぷら

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ピカピカの生たまごの横で
大きな鰹節がふわふわ踊っている

ちょうどいいコシのうどんと
シッカリしたお出汁が
いい具合にたまごと絡んで美味しい!
揚げたての茄子も衣がサクサクだ!

直感で入ったうどん店は大正解!

身体もあったまってお腹も満たされて
さぁ!駅に向かって帰ろうか~

と思って歩き出したら
コーヒー好きとしては見逃せない看板が!?

「YAMAKI COFFEE」
THAI COFFEEの専門店らしい

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インドネシアやベトナムの銘柄は
わりとなじみがあるけれど
タイのコーヒーというのはあまり聞かない?

白とブルーの店構えが
ちょっと目を引く小さなカフェ

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タイ北部に住むアカ族という部族が
森の中で栽培する無農薬のコーヒー
その名も「森の実りコーヒー」を自家焙煎

店内はコーヒーのいい香り!

うどんを食べた直後だが
美味しいコーヒーは別腹・・・(笑)

いや、食後のひと息に
美味しいコーヒーは欠かせない

浅煎りのブラックコーヒー
それもハニープロセスという方法で
精製された豆をチョイス

こういうときに
カフェで働いている知識は役に立つ(笑)

酸味がありながら
バランスのいい苦みとコクがあって
飲みやすいコーヒーに感動!

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「タイのコーヒーって初めてなんですけど
クセが無くてキレがあって飲みやすい!
すっごく美味しいです!」

その感想がきっかけで
お店のマスターと話が盛り上がり
タイのカフェ事情のことや
タイ産のコーヒー豆のことなどなど・・・

私以外のお客さんがいなかったこともあって
思いがけず楽しい時間に♪

しかし、こんなところで
自分のコーヒーの知識が生きるとは!?
世の中何が役に立つかわからないものだ(笑)

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散歩のはじめにベーグルを買って
「幸先良さそう♪」と思ったのは
どうやら間違いじゃなかったらしい

歩みを進めた先に待っていた
期待以上の歴史と景色と味との出会い
そして心を満たす人とのコミュニケーション

最高の休日になった

自宅に戻って楽しんだ
ベーグルと漬物の味もまた格別!

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家に帰っても続く旅・・・
これもまた旅の楽しみである

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急行の通過待ちの駅だった
中板橋のイメージは大変化!

これからは
中板橋で降りる回数が増えそうだ


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