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北の富士勝昭さんのご逝去に寄せて


第52代横綱、北の富士勝昭さんが逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


たまたま二つ前の、このブログで、第51代横綱、玉の海正洋さんの記念館がオープンしたニュースを知り、そのことを書きました。そして、北玉時代を象徴するもう一人の横綱である北の富士さんが旅立たれたという知らせを受け、再び当時のことを思い返す機会となりました。

私が子供の頃、北の富士さんはどこか“相撲取りらしくない”存在に見えていました。その理由の一つが、彼の持つ華やかさやプレイボーイのような雰囲気だったのかもしれません。当時の私は、相撲取りというのはもっと厳格で、質実剛健なイメージを持っていました。北の富士さんの派手さは、良くも悪くも際立っていて、子供心に「なんだかちょっと違う」と感じていたのだと思います。

特に記憶に残っているのは、横綱に昇進したあとの琴桜との対戦です。横綱同士の相星決戦か優勝決定戦だったと記憶していますが、テレビの前で琴桜を一生懸命、応援したことを覚えています。(琴桜、横綱昇進後初、合計5回目の優勝・・・だったはず)
琴桜には、北の富士さんとは対照的なザ・スモウトリ的なイメージがあり、それが自分の中ではしっくりきたのでしょう。

その後、九重親方としての二人の横綱を育て、相撲協会を去った後はNHK解説者としてのわかりやすく、取り組みの解説をしてくれました。やっぱり元横綱の解説ですから、他の元力士の解説より、重みがありながらも、相撲への深い愛情やユーモアあふれる語り口を楽しませてもらいました。現役時代の派手さとはまた違った、温かさや懐の深さが感じられ、いつの間にかその解説に心を奪われていました。


ここ1、2年、北の富士さんが解説をお休みされるたびに、「今場所も北の富士さんは休場です」とアナウンスされてましたが、最近はその案内すらなくなり、不安を感じていました。そして今回の知らせ。大変寂しい気持ちです。

これで現存する元横綱は、三重ノ海さんがたぶん最高齢?長生きしてもらいたいです。

10回の二けた優勝で、相撲界の歴史を彩った北の富士勝昭さん。その華やかさも、温かさも、そして解説者としてのユーモアも、これからも多くの人々の記憶に残り続けることでしょう。


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