Salesforceを辞めて、売上0のスタートアップに転職しました。
▼はじめに
こんにちは。西中一平と申します。
外資ITのSalesforceに4年半所属していましたが、22年12月をもって退職しました。私はカスタマーサクセス部門のITコンサルタント職に就いておりましたが、働きがいのある会社ランキング1位は伊達ではなく素晴らしい会社でした。
Salesforceの営業職に比べコンサルタント職の情報は少ないと思うので、Salesforceへの転職という選択肢の一助になればと、感謝の意を込めてnoteに書きます。
もし詳しい話を聞きたければ、FacebookのMessengerよりご連絡ください。
▼キャリアの考え方は?
まず、前提として私のキャリアの考え方です。
考えが違うなという人はこれ以降を読んでもお時間が無駄になる気がしますので、共感する方のみ読み進めてください。
自分の価値観は漫画から形成されていることが多いのですが、キャリアの根幹は、漫画・宇宙兄弟のこのシーンです。
さかのぼること2009年。新卒就活をしていた当時、
①大学院の専門の延長線上にある大手メーカー
②まったくの畑違いのITベンチャー
の2択で迷っていました。
友人たちは専門である大企業のメーカーへ就職し、そのまま定年まで勤める。自分も何の疑問もなく、そうすると入学当初より思ってました。
そんな折、就活セミナーでなんとなく見つけたワークスアプリケーションズというIT企業のCEO牧野さんのスピーチに衝撃を受けました。今では価値観が変わりつつあると思うのですが、
「日本はダメ」
「終身雇用は終わってる」
と、これまでの人生観をすべて否定されるような内容でした。ただ、不思議と屈辱感などネガティブな感情はなく、やってやるという闘志があふれて、なぜかセミナー会場で微笑んでしまったことを今でも覚えています。
そして大手メーカー or ITベンチャーで迷うことになります。企業理念、業界動向、待遇、研修充実度、スキルマッチング、財務などをExcelを使ってスコアリングし比較していました。
スコアの結果は大手メーカーの方が高く出ていたのですが、自分の中では「なんだかなぁ」と納得できませんでした。
そんなとき、宇宙兄弟を読み、
という言葉。
楽しさ。
ああ。これだなと。
最初から結論は出ていて、背中を押す何かが欲しかっただけかもしれません。楽しさという軸だけで、IT業界に進みました。その選択は正しかったと心から思っています。
大学入学からの目標はたった1時間のスピーチで変わってしまうのですから、
長期的な目標は立てない
その時点の仕事に全力を尽くす
迷ったときには楽しいと思える選択肢を選ぶ
そんな価値観を持っています。
ジョブズのConnecting dotsとか、キャリアドリフトとか、計画的偶発性理論とか。この辺りの考え方が自分のキャリア観なのかなと思っています。
▼Salesforceでの仕事内容は?
0.全体
さてさて、話を本題に戻しましょう。
Salesforceでは、ライセンス販売後はすべてカスタマーサクセス部門で管轄します。その役割は多岐に渡りますが、私は導入、定着、活用を有償で支援するコンサルティングサービスを担っていました。
コンサルティングサービスは、
テック
ビジネス
デザイン
SI
とチームが細分化されています。私は4年半テックチームに所属し、7つのプロジェクトに着任し、3度の部門賞を獲得し、当時最年少で上級技術職に昇格させていただきました。(自慢。ドヤ。)
コンサル系って「どんな案件がありますか?」って聞くと「案件によってバラバラです」と返ってくることが多いと思います。(あれって、何も回答になっていないですよね)
自分の経験の範囲では、3つに分類できたように思います。
私は、どの案件も担当する機会を頂きました。それぞれどんなことをやっていたかを順番に説明します。
1.PoC
PoCはProof of Conceptの略です。お客さんから
SFA内で見積業務を構築すると、価格の統制を取りやすい
SAPと連携して、SFAから在庫、請求、売上計上が見えると、営業の負荷が下がる
フィールドサービス製品を導入すると、コールセンターやフィールド技術者の工数が下がる
と仮説(=Concept)を頂き、本当かどうかを実機を使って検証(=Proof)します。一人で着任するので実機の構築も自ら行いますし、技術的な疑問があれば本社の製品開発へ問い合わせすることもあります。(※英語は読み書きができれば、ギリなんとかなった。)
前提・ゴールさえ抑えれば、あとは技術的問題だけが残るので、技術力が高い方や主体的に動ける方がマッチするような案件だったかなと思います。
個人的には技術が高い方ではないのですが、主体となって動く点に楽しさを感じてましたので、一番楽しい案件でした。
2.導入PJ
次は、導入PJです。
PoCを経て、「おっしゃ本格導入や!」となれば、実際の導入ベンダーが参画して導入PJが開始されます。
Salesforceは技術アドバイザーみたいな役割をもって、PMOの並列の位置づけでPJに参画して、導入ベンダーの設計、開発に対してアドバイスやレビューを行います。
主要な技術検証は終わっているので、細かい技術課題が出てくる傾向がある印象です。また、大きな体制が組成されるので、コミュニケーションなどのコンサル的難易度が上がることが特徴かなと思います。
運用開始というわかりやすいマイルストーンがあるので、お祭りみたいな雰囲気を感じます。チームで何かを成し遂げるところに楽しさを感じる人はマッチするような気がします。自分はこの一体感が好きなので、この案件もPoCに次いで好きでした。
3.CoE
最後にCoEです。
Center of Excellenceの略で、かっこよく言っていますが、平たく言うと攻め寄りな運用チームという感じです。CRMは利用しなくても業務は回ってしまう特性のため、現場の巻き込みが重要です。なので、現場も運用チームに組成して、成果を出し続けようという取り組みです。
そこで、
「どういう体制が良いか?」
「どうやって要求を管理するか?」
「どうやって開発・リリースするか?」
と、
各テーマについてCoEのリーダーの方と一緒に考えるのが主なミッションです。詳しくはSalesforceのブログをどうぞ。
運用は開始されているため、利害関係者が多岐に渡ったり、導入が終わったから予算があまりなかったりと、コンサル的難しさというか頭で工夫して解決しないといけないケースが多かった印象です。
管理系が得意な方はマッチするような気がします。
4.総括
PoC、導入PJ、CoEとご紹介しました。ぶっちゃけ、コンサルティングファームに行っても近いことは可能だと思います。
Salesforceへの転職への一助という文脈であれば「製品愛を持ちたいか?否か?」なんじゃないかなと思います。
私の言う”楽しさ”とは色々変わるのですが、ペンシルバニア大学の調査の
「モチベーションの構成要素は公平感、達成感、連帯感の3つだけで決まる」
のどれかの要素に当てはまることが多いです。
コンサルファームは入ったことがないのでわかりませんが、PJごとの連帯感はあれど、それぞれのPJが独立していて、会社全体の連帯感はないのではないか?と仮説を持っています。
一方、ソフトウェアベンダーは自社製品を軸に離れた部署でも一定の連帯感を持ち、家族のように支え合うohanaカルチャーも相まって、連帯感が強くモチベーション高く働けました。
なので、この製品愛を通じた連帯感に共感できる方はSalesforceが合うのではないかなと思います。
▼次の会社は?なんでSalesforce辞めるの?
次の会社はパトスロゴスという製品はまだなく、コア事業の売上も0のシード期のスタートアップです。前職の社長の牧野さんがちょうど一年前に
この記事を投稿され、そこからFacebookのMessengerで連絡を取り、その想いに共感したところから、転職を決意しました。
転職に際して、Salesforceへのネガティブな要素はないです。
マジでいい会社でした。あえて言うなら、みんなカタカナ語を使っているのですが、それに染まる環境が嫌だったくらいです笑
Salesforceへ辞意を伝えたところ、ありがたいことに引き留めていただき、3段上の上長とも面談もしました。それでもスタートアップへ挑戦したいという自分の冒険心を伝えたところ、快く送り出してくださり、
「いつでも戻っておいで」
という暖かいお言葉も頂きました。
心に決めた以上は次のスタートアップを成功させる不退転の思いで励もうと思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。Salesforceへの入社情報の一助になれば、幸いです。
西中一平
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