病棟の蝶 !思い出のナース
我々のような精神科の患者やデイケア患者は普段 病院や職員達に辛口かもしれませんが、それは病院を愛する故であって心底嫌いだからという訳ではありません。
我々が嫌うのは障害者への差別と虐待であって、それをしない人々に敵意はないからです。
病院暮らしが長いと思い出に残る職員という方々もおられるわけで、今日はそんな話をします。
私が17歳で初めてぶち込まれた精神科には名物ナースがおられました。
北海道の地方都市にあった病院にわざわざ札幌から毎日電車で通っていたK看護師。
その時にはとっくに50歳を超えていて産んだ子供は男の子ばっかり5人という看護師さんでしたけれども、どう見ても30代くらいにしか見えない若作りの美人さんでした。
先輩患者達はみなさん「子供が5人出来るのもわかる!」と言っていたものです。
ある日、問題ばかり起こす中学生の患者が「ミッキーマウスが好き」といったところ、なんとこの看護師さんはこの患者を穏やかにしたい一心で勤務が終わった後に病院のとなりのデパートでディズニーグッズを探すほどこころの優しいところがありました。
病院暮らしはこころが荒むものですが、この看護師さんは本当に一生懸命 男性病棟で患者に声をかけて病棟の空気を保っておられたものです。
当時、私のような当時若かった入院患者は年配のベテラン患者に「美人ナースにはわざとソッポを向け。かまってほしいなら夜勤をねらえ」と教育されました。
ナースの世界は何かとややこしい女の職場だからです。
このナースはアンチ巨人でしたから(*当時日ハムは北海道に来ていなかった)談話室で巨人の敗北を見届けた我々がナースステーションに向かって「K看護師さん、今夜(のナイター)は強かったね!」なんて言うと「ヤッター!!!負けたのね!」なんて言うのがとてもほのぼのした会話でした。
声も優しいマシュマロボイスで、彼女の「夜9時の消灯コール」で眠るときには本当に安心できたものです。
いま御健在でいらっしゃるなら80代。
私も55歳になりました。
どこかで遭ったなら一杯やりたいですね。
あ、僕酒飲めないですけど(笑)。
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