掃除機のブランド分析をしてみる#3
戦略キャンバスを使って掃除機のブランド分析をしてみたいと思います。
戦略キャンバスとは、ブルー・オーシャン戦略で提言された分析手法でして、競争要因を価値曲線にして可視化する手法です。
ここでは、類似度行列から戦略キャンバスを作ります。
まず、KHCoderの機能を使用して、ダイソンとパナソニックの類似度行列を出力します。
ダイソンの類似度行列
パナソニックの類似度行列
数字がつぶれて見えないかもしれませんが、イメージをつかんでいただければと思います。
各類似度行列の最後の行の価値曲線は、単純に列中の類似度の和をとったものです。
このダイソンとパナソニックの価値曲線を1つのグラフに表して、戦略キャンバスが完成します。
戦略キャンバス
以下は、感想となります。
私は、ダイソンの掃除機はデザインがよいから売れていると考えていましたが、戦略キャンバスからは、「楽」、「簡単」だから売れていることがわかります。これはパナソニックも同様です。
前回書きましたが、情緒的ベネフィット>機能的ベネフィットですので、「楽」、「簡単」であることが掃除機には必須であることが分かります。
つまり、どんなに吸引力などの機能性を改善しても、「楽」、「簡単」でない掃除機は売れないことになります。
そう考えますと、究極の「楽」、「簡単」な掃除機は、ロボット掃除機ですので、ロボット掃除機が人気なのもわかります。
私は、ロボット掃除機が出た当時は、こんなおもちゃみたいなもの売れる訳がない、と考えておりましたが、ブランド分析からは理にかなっているといえます。
情緒的ベネフィットと機能的ベネフィットにおいて、ダイソンの価値曲線はパナソニックの価値曲線を上回っておりますので、ブランド的に優位にあることが分かります。
パナソニックとしては、価値曲線を変化させ、ダイソンとの差別化を図ることが開発方針となりますが、それは、また別の機会に手法をご紹介いたします。
ということで、掃除機のブランド分析はこれにて終わりとなります。ありがとうございました。