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あだなを使っていい場面、悪い場面
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日ごろ大学生と話す機会が多いのですが、ここ数年、彼らのコミュニケーションにいくつかの変化を感じています。
そのひとつが「あだな」。私が学生だったおよそ30年前に比べて、圧倒的に「あだな」で呼び合うことが増えている印象です。自己紹介の場面で最初から「●●って呼んでください」とあだなを名乗る学生も少なくありません。
コミュニケーション心理の観点から言えば、「あだな」は「排他性」を意味します。「あだな」とは仲間内の間でだけ通じる隠語・サインなわけで、部外者を会話の流れからはじき出す作用があります。
たとえばある学生の名前を「佐藤君」と覚えていても、突然、別の学生に「ニック(※佐藤君のあだな)、今日、バイトみたいです」と言われると面食らうし、逆にこちらから「佐藤は?」と尋ねても「へ? ああニックですね」と、いちいち話のテンポが途切れることに。
そもそも、SNSにおけるハンドルネームに慣れている彼らは、複数の名前を持つことに抵抗がありません。その世界では「このハンドルネーム=●●」ということが分かっている者同士でしか、コミュニケーションが成り立たないのです。
このように、仲間(ウチ)とそうでない人(ソト)を区別するのは現代的な傾向。
10代女子の間で第1人称として「ウチ」が頻繁に使われているのと、無関係ではないでしょうし、メールよりもLINEが隆盛しているのも「パブリックでオープンなメール」よりも「仲間内のチャット(おしゃべり)」に重きを置いている証しです。
もちろん、あだなを使うのは若者だけではありません。
職場でも、あだなや「~~ちゃん」「~~選手」といった親密な呼び方を多用する人はよく見かけます。
こうした呼び方は、部署や組織に一体感を醸成する効果がある一方で、周囲に対して排他的なメッセージも発していることに、自覚的でありたいものです。