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泣ける男は強い【フェミニズムと男性学】

今回のシン・時事恋愛(2010年〜11年に連載していたオトナ女性のための恋愛コラムの再掲)は、「男の涙」がテーマです。

「男性が弱くたっていいじゃないか」という視点も、この10年で大きく変わったことです。

▽次回の寺子屋は4月10日(土)開催▽

男に涙は似合わない、というのは昔の話。弱音を吐き、泣き言を言い、ときには大粒の涙も見せてしまう。そんな男性が増えています。

 みなさん、こんにちは! 働き女子の“恋愛涙腺"を刺激する「時事恋愛」、今回のテーマは「男の涙」です。
 
 みなさんは、男の涙についてどう思いますか? もちろん涙といってもうれし涙から悔し涙までいろいろですが、悲しいことやつらいことを前にして、涙を流して泣く男性がいたらどう思いますか?
 
 身の回りの40代の女性にこの質問をぶつけると、
 
 「引く」
 「男のくせにみっともない」
 「好きな男性ならともかく、微妙な関係の相手なら一気に冷める」
 
 といった手厳しい声がかえってきがちです。いっぽう、20代の女性は、
  
 「何とも思わない」
 「むしろ人間味あふれる感じで、好感が持てる」
 「かわいい」
 
 と、評価が甘くなります。
 
 「涙」は少々おおげさかもしれませんが、時代の変化・コミュニケーション環境の変化とともに、感情を面に出す男性が増えているように感じます。
 
 たとえば、仕事でつらいことがあるとすぐに「無理です」と弱音を吐く男性。
 
 たとえば、ささいなひと言に「傷ついた」とショックを受ける男性。
 
 たとえば、自分の思いの丈を長文メールでせつせつと訴えてくる男性。
 
 みなさんの身の回りにもいませんか? あるアンケートで、
 
 「いつも彼女に仕事の愚痴を聞いてもらっています」
 
 「彼女の家族がすごく優しく接してくれるので、感激して泣いちゃったことがあります」
 

 という20代男性の生声を目にしたことがありますが、まさに隔世の感がありました。
 
 その昔、男に涙は似つかわしくないものでした。小さいころから感情を面に出さないようにしつけられた男性たちは、泣きべそをかこうものなら「男なんだから泣くな」「男だったら我慢しろ」と叱られたものです(僕の幼少期ですらそういう風潮はありました)。
 
 ところがいまはどうでしょう? 豊かな社会の中で優しく優しく育てられた日本の男子たちにとって、「男は泣かない」という美学は昔ほど機能していないように見えます。実際、映画やアニメ・マンガにおいても、そういった描写は少なくなりました。
 
 こうした傾向をつかまえて「最近の男は弱くなった」と嘆くのは、少々違うでしょう。
  
 昔ながらの日本男性は、感情をうまく吐き出せない分、限界まで自分を追い込んでしまうことも多く、燃え尽きてしまったり、家族の中で孤立してしまうこともしばしばでした。
  
 それよりは、なにかにつけて弱音を吐くけれど意外としぶとく、よく泣くかわりによく笑ってよくしゃべるという新たな男性像には、今の日本に必要な、適度にガス抜きをしながらしなやかに生き抜くバイタリティーの兆しを感じます。
 
 ですから、身の回りにそういう男子がいたら目くじらを立てるのではなく(正直、イラッと思う気持ちはよーく分かりますが)大目に見て欲しいものですし、事実、すでに若い女性たちはそういう男性たちをいち早く受け入れ始めているのです。
 
 みなさんの寛大なる御心を、イマドキ男子たちに代わって期待したいと思います!

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