ゲレンデで目の当たりにした自分の性分
ウィンターシーズンが来ると思い出す。大学時代に初めてスノボに行った時のことを。
大学時代、私はゆるめのテニスサークルに所属していた。ガチではないので、出席も強制されない。そして他にもバレーボールをしたり、冬にはスノボにも行く、ということだった。楽しくスポーツをしながら、友達も増えて一石二鳥やん!と、同じ高校の友人と一緒に入ることを決めた。
そして、ウィンターシーズンが訪れ、スノーボードをする冬合宿があるという。
スキーは経験があったが、スノボは未経験。私は仲の良い友人とウエアを購入し、冬合宿に参加することに。スノボはやったことないけど、なんとかなるっしょ!と思っていた。
みんなで夜行バスでスキー場へ。なかなか大所帯のサークルだったので、何台かに分かれて向かったと記憶している。
朝、スキー場につくとテンションだだ上がり。
そのままの勢いで、ウエアに着替え、いざスノボ初挑戦!
仲の良い友人5人くらいと一緒に板を選んだ。まず靴をどうやって板につけるか、そこからわからない。経験のある女友達が、靴のつけ方などを簡単に教えてくれた。まごつく私たち。
「教えてあげようか?大丈夫?」
優しい2回生の男の先輩たちが声をかけてきてくれる。当時大学1回生だった私たち。これぞ、サークル活動のキラメキトキメキというものではなかろうか。
しかし。
「いやいや、大丈夫です!なんとなくわかります!」
その優しさに甘えることをぜず、全力の固辞。スイスイ滑れる先輩たちなので、絶対どんどん滑りたいに違いない。時間を取らせたら申し訳ないし、こちらも居た堪れなくなるに違いない。
「いや……。けど初めてなんちゃうん?」
心配そうな顔をしている先輩たち。普段仲良くしている同回の男友達たちだったら、そこまで遠慮しなかったかもしれないが、なんせ先輩なのだ。
「いえいえー!大丈夫です!どうぞどうぞ!先へ行ってください!!!」
全力の固辞に先輩たちは不思議そうな顔をしていた。
「ほんまに良いの……?大丈夫?じゃあ……」と、先輩たちはその場を立ち去っていった。
先輩たちの背中を見送り、私は一安心。(なんで)
その後、まだ滑れる女友達に軽くレクチャー(一瞬)を受け、それすらも「もう大丈夫!ありがとう!」と感謝を述べて、完全なる初心者たち(私含め4人くらい)が取り残される形に。
そこからは完全に、正に七転び八起き。習うより慣れろ。
見様見真似でこけまくる。こけた瞬間に、すごい早さで起き上がる。リアル起き上がりこぼし。そして、また滑り出す。不屈の精神。
「ギャーーーーー!止まらないーーーーー!」
尻もちをついて、お尻を強打。友人なんて勢いよくこけすぎて、板が頭に強打ししばらく動けなくなっていた。(危なすぎる)
七転び八起きを体現した結果、途中からなんとなく滑れるようになっていた。人に頼るのはとにかく苦手だけど、不屈の精神を持ち合わせた私たち。こけてはすぐさま起きてを繰り返し、なんとか滑れるようになったかな?というスノボデビュー。全身筋肉痛。
戦友たちとお互いがこける様を見て笑ったりしながら、楽しかったなぁなんて思っていた。
そして、翌年。また冬合宿の時期がやってきた。
1年ぶりのゲレンデ。全く上手ではないが、颯爽と1番上まで一気にいけるゴンドラに乗り込む。
ゴンドラから景色を見ていると、驚くべき光景が目に飛び込んできた。
去年声をかけてきてくれた優しい男の先輩たち(3回生)が、1回生の女子たちにスノボのレクチャーをしている光景。5人の先輩たちが1回生の女子10名くらいを手取り足取り教えてあげている。みんな笑顔でキャッキャしている様子が見て取れた。
「スノボ教室みたいになってるな……」
「ほんまやな……」
「去年あんなんなかったよな……」
いやいや、あんたら好意を全力で断ったんですがな、と突っ込みたくなるが、友人と苦笑いしながら顔を見合せたのを鮮明に覚えている。
一つ上の代の男の人たちは優男が多く、一つ下の女の子たちは可愛らしい甘え上手な子が多かったので、ベストマッチと言えよう。私たちの代は男女ともに、おもしろいことを追求しがちな人が多めだったので、うまいことできていたのかもしれない。
今ならわかる。
頼ること、甘えることは決して悪いことではない。上手に頼ることは、自分のためにもなるし、相手の喜びにつながることだってあるのだ。時間を奪って申し訳ない、なんて思わなくて良い。その分、自分が得意なことを、誰かに教えてあげたら良い。
まぁ、七転び八起きの精神も同じくらい、いや、それ以上に大事だとは思うんだけれども。
スノボと聞くと思い出す、大学時代の想い出。笑えるくらいに自分たちの性分を実感した出来事。あの時素直に教えてもらっていたら、もっとスムーズに滑れるようになっていたに違いない。
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