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2023年12月前半の日経平均振り返り
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① 日経平均チャート
12月前半相場を振り返ると、日経平均株価は7日、8日の2日間で1100円強下げるなど荒っぽい動きとなり15日には32970円で取引を終えた。
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② 為替チャート
この原因は外国為替市場で急激な円高が進んだことによるものである。
円相場の急変動のきっかけは7日に日銀の植田和男総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べ、緩和の早期正常化を巡る観測に火をつけた。
その前の日には氷見野良三副総裁が、金利上昇が家計に金利収入をもたらすプラス効果の可能性に言及していた。
市場関係者は一連の発言をマイナス金利解除、すなわち利上げへの地ならしと受け止めたわけである。
これを受け7日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時1ドル=141円台後半に急上昇した。
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③ 日銀サプライズ
1日の円高方向への値動きとしては、日銀がサプライズで長短金利操作を修正した昨年12月20日以来の大きさとなった。
これまで、金融緩和を続ける日銀、インフレ退治で引き締めを急ぐ米国。
この構図が金利の低い円を売り、金利の高いドルを買う円キャリー取引を誘発してきた。
為替が動かなければ安定した金利差収入を得られるため、多くの投資家がキャリー取引に参加した。
ところが足元の急速な円高はこの前提を揺るがす。
例えば11月中旬に1ドル=151円でドルをかった投資家は、143円程度まで円高が進むと5%超の為替差損が生じる。
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④ 日銀サプライズの影響
ドル買い・円売りで得られる年率5%程度の金利差収入を吹き飛ばしてしまう水準だ。
一部の投資家がキャリー取引の解消に走り、円高を増幅させた可能性がある。
影響は外国為替証拠金(FX)取引で円売りをしていた個人にも及んだ。
141円まで進んだ円高局面では含み損が一定水準を上回り強制的に損失が確定するロスカットの発動が相次いだことだろう。
為替市場の動揺は東京株式市場にも波及する。
8日の日経平均株価は約1カ月ぶりの安値を付けた。
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⑤ 円安・円高影響
下落が目立ったのは自動車など輸出関連株だ。
1ドル=140円台を想定レートとして置く企業が多く、円安による業績の上振れ期待がしぼんだかたちだ。
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⑥ FOMC・FRB
そして13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見したパウエル議長は追加利上げではなく、利下げの時期を議論したと明言した。
米連邦準備理事会(FRB)が2022年3月に始めた利上げは事実上終結し、焦点は24年の利下げ時期に変わったのである。
この1年4カ月の利上げ期間は01年以降で最短で計5.25%の利上げ幅は1980年台以降で最大となる。
パウエル議長は会見で7~9月期に5%程度の高成長となった米経済が大幅に減速しているとの見方を示した。
さらにFOMC参加者は同日の経済見通しで24年3回分の利下げを予想し9月の前回見通しの2回から下げ幅を大きくした。
消費者物価の前年同月比上昇率は40年ぶりの記録を更新した22年6月の9.1%から23年11月は3.1%まで鈍化したからだ。
これを受け金融市場は大きく反応した。
米2年債利回りは会合直前の4.67%から4.34%に低下。
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⑦ NYダウチャート
米ダウ工業株30種平均は史上最高値を更新し、外国為替市場では円高・ドル安が進み一時140円台まで円高が進んだ。
さらに欧州中央銀行(ECB)も14日の理事会で、政策金利を2会合連続で据え置くことを決めた。
インフレ基調が鈍化に転じるなかドイツを筆頭に景気不安も根強い。
急ピッチで進めてきた利上げの効果を見極めるのが適切と判断した。
金融政策の世界的な転機は、長期緩和からの出口を探るに璃銀の判断にも響く。
日銀は物価と賃金上昇の好循環が確認できればマイナス金利政策を解除する方針だが、欧米が利下げに転じれば、企業収益を押し上げてきた円安相場の変調は避けられない。
独自の戦いを続けてきた日銀は、米欧中銀の動向も踏まえた判断を迫られることになる。
日銀の金融政策決定会合は来週の18~19日である。
さて日銀はどのように舵を切るのか切らないのか要注目である。
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