2024年4月前半の日経平均相場振り返り
① 日経平均チャート
4月前半相場を振り返ると、日経平均株価は40000円を割れて概ね39000円台での上下を繰り返した。
1日早々に40000円台を割れてしまったわけだが、この日の日経平均株価は朝方こそ日本株の先高観や中国経済の回復期待で、買いが先行し上げ幅は300円を超えたものの続かず、日経平均の下げ幅は一時600円を超え、日中値幅は990円に達した。
終値は566円安の39803円となった。
② アロケーション
1日のアジア株は日本を除けばほぼ上昇しており、この日の下げは新年度に伴う機関投資家による益出しという日本固有の要因と思われる。
年初からの株価急伸で機関投資家の日本株比率が大きく上昇したため、アロケーション(資産配分)の見直しに伴う売りが優勢になったのである。
③ 中東情勢の緊迫化
その後日経平均は25日移動平均線をまたぎながら推移するも5日の東京株式市場では一時900円超下げ、取引時間中としては今年2番目の下落幅を記録した。
投資家のリスク回避姿勢が強まった背景は、中東情勢の緊迫化がある。
イスラエルが1日にシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺を空爆した。
イランが近くイスラエルに報復する可能性があると伝わると、イスラエルのネタニヤフ首相は4日、徹底的に戦う姿勢を示した。
これにより、ダウ工業株30種平均は4日、2024年に入って最大の下げ幅を記録した。
このムードが5日の東京株式市場にも波及し、日経平均は前日比781円安の38992円で終えた。
④ 金先物チャート
そして一部のマネーは株式から安全資産に向かった。
逃避先の一つは金(ゴールド)だ。
⑤ NYダウ先物チャート
国債指標となるニューヨーク先物は4日、一時1トロイオンス2325.3ドルと連日で最高値を更新した。
⑥ ドルフランチャート
外国為替市場ではスイスフランに買いが集まった。
⑦ 原油先物チャート
原油も供給不安から上昇している。
そしてイランの報復懸念は14日午前1時40分(現地時間)に現実のものとなってしまった。
今後の中東情勢から目が離せない。
⑧ 就職企業人気ランキング
さて話題はガラリと変わるが、先日2025年卒大学生対象の就職企業人気ランキングが発表された。
これは日経新聞社と就職情報大手のマイナビが2025年3月卒業・修了予定の大学生、大学院生を対象に、就職希望企業調査を実施し約39000人から回答を得たものである。
文系・理系とも、業種を問わず「人財」への思いを学生に訴求し、社員のキャリア形成を重視する企業が人ランキング上位に並んだ。社員と共に変革を目指す姿勢を注視する学生の視線変化が表れている。
文系総合ランキングでは多様な業種の企業が上位にランクインした。共通項は将来の担い手として学生に期待する企業の「人財」への思いの強さのようだ。
多くの企業が「職種を自分で選びたい」という学生に応えるべく、専門性や能力を生かした働き方を提示し、コース別採用を積極的に実施している。
⑨ 1986年 人気ランキングと対比
持続可能な成長を探り、業界を超えた事業展開を進める会社が増えているが、終身雇用・年功序列などを見直す動きがあるなかで、学生側も自らのキャリアについて主体的に考え、働き手としてのスキルを身につけて成長したいという意識が強い。
社員のキャリア観に寄り添い「人財」を育てようとする柔軟な姿勢が、学生の企業選びの注目点として浸透しつつあるようだ。
理系上位の企業では、キャリア支援への注目度が高まっている様子がみてとれる。
前年から大きくランクアップしたパナソニックグループがインターンシップの受け入れ数を増加させているのはその典型と言えよう。
学生の希望するキャリアと自社の採用ニーズをより高い精度でマッチングを図る取り組みも学生への訴求力を持つようだ。