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2024年3月後半日経平均相場の振り返り


①    日経平均チャート

3月後半相場を振り返ると、日経平均株価は3月前半の調整局面から25日移動平均線を横ばいで推移した後、急上昇し22日には41087円と最高値を更新した。
特に18日は主力の大型株を中心に買い戻す動きが広がり日経平均株価は1032円高となった。
これは前週の週間での下げ幅981円を一気に取り戻した形だ。

②    日銀金融政策決定会合

日銀が18~19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになったと報じられたことを受け不透明要因が解消され、海外投資家を中心に買い安心感が広がったことが要因である。

③    TOPIX

同じく22日には日経平均に遅れをとっていたTOPIXも2820ポイントまで上昇し1990年1月以来の高値をつけた。
1989年12月18日の最高値2886ポイントまであとわずかのところである。

④    配当金の再投資

さて3月期末といえば、毎年のことではあるが配当金の再投資を巡る思惑がある。
3月期末の権利付き最終売買日である27日から権利落ちの翌28日にかけて、指数先物にある程度の買い需要が発生する。
配当金の再投資とは機関投資家が将来に受け取る配当金の分、先物などに買いを入れる動きだ。
理論上、配当権利落ち日には配当金額の分だけ株価が下がる。
ただ実際の配当金は5~6月に開催される株主総会を経て振り込まれるのが一般的だ。
指数連動の運用をめざすパッシブ投資家が配当込みの指数を目標とする場合、実際に配当金を受けるまでの間は指数と運用成績でずれが生じる。
このずれを小さくするため、将来受け取る予定の配当分を先物買いなどで手当てする。
日本企業が配当を増やしているため、再投資の規模は大きく膨らんでいる。

⑤    再配当の予想と結果

市場関係者の試算では日経平均先物で2000億円弱、TOPIX先物で1兆1000億円弱の買い需要があると予想されていた。
もっとも27~28日の株価に与える影響は限定的との見方あった。
市場では毎年恒例の買いとして周知されており、当日に合わせて売りを出す投資家も一定数いる。
今回は配当取り後の手じまい売りが多く出たほか、期末の公的年金の売りが出たと見られている。
公的年金は日本株の保有比率を全資産の中の25%程度に定めており、株高が進めば比率を超えてしまった分を売って比率を保つ必要がある。
市場関係者の試算では公的年金からのリバランスで出る売りは2.2兆円残っているとされていた。
実際に28日には幅広い銘柄で売りが出ていた。
またこうした多額の売りが出るとの想定から警戒した売りも出たのだろう。

⑥    止まらない円安

今月の一番の出来事は何といっても日銀によるマイナス金利解除である。
だが利上げを受けても円安が止まらない。
20日の外国為替市場で円相場は151円台合板に下落した。
19日に日銀がマイナス金利政策の解除を発表する前は149円台前半で推移しており、1日で2円以上も円安が進んだことになる。

⑦    対ユーロ対ポンド

対ドル以外では一段と円安が進んだ。
対ユーロ=164円台後半と23年の安値を突破し、2008年以来の円安・ユーロ高水準を付けた。
対ポンドでも1ポンド=192円台と2015年以来の円安・ポンド高水準となった。
日銀は19日まで開いた金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めた。
ただ、それでも政策金利は0~0.1%と、5%超の米連邦準備理事会(FRB)などと比べて大幅に低い状態である。
日銀の植田和男総裁が19日の記者会見で追加利上げを示唆しなかったため、海外との金利差が開いた状態が続くとの見方が広がったことで、幅広い通貨に対して円安が進みやすくなった。
日銀の政策先行きの不透明感が解消されたことで、円売りに安心感が広がったといえる。
円売りの余地も大きくねっていた。
円相場が一時146円台まで上昇した3月上旬以降の円高局面で投機筋の円売りポジションが縮小した。

⑧    投機筋の円売り越し額

米商品先物取引委員会(CFTC)によると12日の時点で非商業部門(投機筋)の円売り越し額は2月末のピークから2割少ない1兆2700億円まで縮小していた。
決定会合前に落とした円売りポジションを構築する目的で、改めて積極的な円売りを手がけやすくなっているのである。
ただ直近安値151円90銭台に向けて円安が一段と進めば、為替介入の可能性が意識されるところである。
22年10月21日には5兆6000億円規模の円買い介入を実施している。

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