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ストレスチェックで会社をクビ!?悪用される危険とは

こんばんは!お気楽管理衛生士のハルです。今回の記事の内容に入る前に
第1回の記事「ストレスチェックはなぜ始まった?」
第2回の記事「貴方の会社は大丈夫?ストレスチェックの正しい手順」
を先にお読みいただけると幸いです。
さて、ストレスチェック話第3回として、「もし、会社がストレスチェックを悪用したら何が起こるのか」実際の手順を元に解説を行ってまいります。
勿論会社が間違いなくストレスチェックを正しい手順で実施できていれば、何ら心配する事はありません。
しかし、万が一今回の記事で触れるような事を会社が実施してたら…
最悪あなたは「会社から追い出される」可能性もある……かもしれません。
今回は私自身がストレスチェックの実施に関わってきた上で感じた事をまとめて参りますので、「もしも」の話も多くなることをご了承ください。
それでは始めて参りましょう!

1.ストレスチェックでクビに?

まず、そもそも何故ストレスチェックでクビにしようなんて考えてしまうのか…。これは実際に従業員のストレスチェック結果を見てみないと理解する事は難しい事かと思われます。ただこのストレスチェックというものは

精神が危うい従業員を発見する事が容易

な仕組みとなっています。また数年間に渡って管理をしていくと、「この人マジ病んでるな…」という従業員も明確に見えてくるのです。
皆さんはどうでしょう?ストレスを重度に抱え、今にも爆発しそうな方が部下にいたら…「助けてあげたい」でしょうか?「面倒だから消えてほしい」でしょうか?最低な上司ならば辞めさせるよう働きかけてしまうかもしれません。

さて、そんな危険性を先にお話したのですが、実はストレスチェックには「ストレスチェックを実施したことによる不利益があってはならない」という決まりが存在しています。前回の記事でも解説したストレスチェック社内規定においても、必ず「不利益な取扱いの防止」という項目が存在している筈なので、一度確認すると良いでしょう。

「なーんだ、なら安心じゃないか」

と思われる方も多いでしょうし、実際そこまでストレスを気にしていない方も多いかと思われます。

しかし本当に安全なのでしょうか?

実際ストレスチェックに関わっている視点から少し危険性をお話してまいりましょう。

2.個人情報はしっかり守られている?

ここで大事になってくるのが、何より「ストレスチェックの個人結果がしっかりと守られているか」でしょう。特に個人情報が漏れやすい点をまとめてまいりましょう。

①ストレスチェックの実施は誰にも見られないか

多くの企業は外部委託を行っている筈なので、個人のスマートフォン等を利用して実施している所が多いかと思われますが、中には社内PCを使用しての実施や・マークシートへの記入による実施を行っている企業もあるかと思われます。注意が必要なのは後者でしょう。

実施中の社内PCは誰にも閲覧できない状態になっているか?
マークシートの回収を上司が行っていないか?

この2点を思い返してみてください。万が一ストレスチェックの回答を上司が閲覧できるような仕組みであれば「最悪」です。ストレスチェックの基本的なルールを違反している企業となるでしょう。

②ストレスチェックの結果は直接個人に返却されているか

次に大切なことは結果の返却方法でしょう。実施の際にも触れましたが外部委託を行っていれば恐らく直接自宅に結果が郵送されるはずなので基本的には問題ありません。しかし

結果を上司から手渡しされている

企業があれば「最悪」です。ストレスチェックの結果は可能な限り個人へ直接返却するルールが存在しています。一度上司に渡ってしまえばこっそり中を確認する不届きな奴が出てきてしまうからですね。

③高ストレス者の面談は誰がおこなっている?

ストレスチェックを実施された後は、「特にストレスの高い」職員を「高ストレス者」と認定し、面談の推奨を行う事が義務づけられています。職員全体の5~10%程度の方が高ストレス者とされる場合が多く、勿論誰が当てはまるのかは人事権を持つ人間が知る事は許されません。
高ストレス者と認定された職員が「面談を依頼」した場合は、「面談の結果によっては事業者は出来る限り助けなければならない」事となるため、この時点で初めて個人情報保護の縛りが緩くなります。
面談の結果により「所属を変更するように」と命じる必要もでてくるからですね。
面談は必ず「医師」が行う事がルールです。可能な限り自社の産業医が実施するが、その他の医師が受託する事も可能とされています。

ここで怖いのが、まったくストレスチェックのルールを把握していない会社が「ストレスが高いのだから上司が面談を行うように」というバカげた仕組みを作る場合がある事でしょう。
正しい手順は
医師の面談→事業者へ報告→事業者が所属部署へ必要とされる事を命令
であり。自身の上司と話をする事は基本的にはあり得ません。
上司から「ストレスチェックの結果が良くないと聞いたから少し話しましょう」などという事があれば「最悪」と言えるでしょう。親切なようで個人情報の保護を忘れた最低な動きです。

3.職場間分析結果を正しく行えているか?

ストレスチェックの実施は自身のストレスに気づいてもらう事が第一の目標となりますが、もう一つ大事な目的として「職員の結果を集計し、職場間のストレス数値を分析する」というものがあります。私的には非常に重要な事項と思うのですが、厚生労働省からは「努力義務」とされている為、中には無視されている企業もあるでしょう。

実際に職場間分析を行うと、ストレスが強い部署とストレスの無い部署がハッキリと見えてきます。私の会社では毎年解析を行い、特に強い部署へは何かしらの措置(人員配置を増やす・必要とされる物品の優先購入)等を行うよう事業者へと推奨しています。

実はこの職場間分析結果にも職員をクビにしてしまうようなデータが見えてきます。それが「上司の支援」という項目です。
ストレスチェックを実施した時を思い出してほしいのですが、質問の最後の方に「上司には相談できるか?」等の質問があった筈です。その質問にどのように回答したかを他部署と比較する事が可能となるため、良い上司と悪い上司の存在が一目瞭然となります
勿論上司といっても「主任」なのか「課長」なのか「部長」なのかは答えた本人にしか分かりませんが…大抵は「あぁあの課長の事だな」というのは分かってしまうものです…。
ストレスチェックを受験した職員にはいかなる不利益な事象が起きる事は絶対にあってはいけませんが、「職場改善の目的による人員の再配置」と銘打てば、評判の悪い上司を左遷する事も起こりうるかもしれません…。
貴方の職場ではストレスチェック実施後に謎の配置転換が行われていたりはしていませんか?もしかするとそれはストレスチェックが引き金となっているのかも…しれません。ちなみに上司の事が嫌いだからといって、部署内で示し合わせたように全員で協力して悪い方の回答をしてはいけませんよ?絶対にダメですよ?

4.まとめ

今回はストレスチェックによりクビにされる危険性について、少し過剰な例ではありますが解説を行いましたがいかがでしょうか?
「そんな酷い事を会社がしてたら、勿論法的に罰せられるよね?」と思う方もいるかと思われますが、残念ながら現時点では国は
「企業が正しくストレスチェックを行えているかの確認は一切行なっていません」
それどころか実施「義務」とされている企業がストレスチェック自体を怠っていたとしても法的に罰せられる事は無い、と言うこともお伝えしておきましょう。
ここが一番闇の深い部分かもしれませんね…。
次回はこのようにストレスチェックがいかに適当に作られ、国もまったくやる気の無いものであるか闇の本質に触れて参りましょう。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!

無題


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