名曲「ハナミズキ」の二次創作配信プロジェクトが画期的!~名曲再拡散とアーティストの才能発掘~
ここのところ、一青窈さんの名曲「ハナミズキ」のいろんなカバーがSNSでよく流れてくる。
TuneCore Japanと一青窈さんによる『Rework with』という「ハナミズキ」⼆次創作プロジェクトだ。
これが第1弾で、6/26~9/8までの受付期間で開催された。
この企画は、これまでの音楽著作権の概念を覆す、画期的なプロジェクトである。
TuneCore Japanから配布された楽曲パラデータを、プロ・アマ問わず、いろんなミュージシャンが自由に使って、アレンジや歌唱を加えて無料で配信できる。
しかも、印税の50%が配信者の手に渡るというのだ。
名曲再拡散とともに、配信するアーティストの才能発掘にも貢献する。実に革新的だ。
私がこのプロジェクトを知ったのは、シンガーソングライター畑中摩美さんが参加したからだ。
畑中摩美
畑中摩美さんは、一青窈さんのボーカルを使用し、自らは重厚なコーラスを組み込み、アコースティックギターによる編曲を施した。
イントロをなくし、優しく響くギター伴奏を入れて、高音のコーラスを随所に散りばめている。まるでゴスペルのようで、一青窈さんの歌声を最大に生かす構成だ。
一青窈さんのアルバムに入っていてもおかしくないほどの作品である。
他にも、様々なタイプのアーティストが自らの特性を生かして、「ハナミズキ」をリワークしている。
シンガーソングライター楓子さんの作品は、炭酸系を名乗るだけあって、爽やかな歌声が癒しの効果を生み出している。私の心に最も響いた歌声だ。
炭酸系シンガーソングライター楓子
Toshikiさんは、正統派のボーカリストといった高音の綺麗な歌声が心地よい。
Toshiki
ぱんだ楽坊も、印象に残った。和・洋・中華の音楽の融合をテーマにした異色音楽ユニットでボーカルは、4オクターブを超える音域を持つ女装ボーカリストの谷琢磨さんとのこと。原曲から大きく雰囲気が変わって、世界の民謡といった仕上がりだ。
ぱんだ楽坊
今回、結構ヒップホップの作品も生まれていて、中でも私が好きなのは、Auto Aim beats & 13doggさんの作品である。
サビ以外は完全にオリジナルな作品となっている。原曲「ハナミズキ」が作られた経緯、つまり2001/9/11のアメリカ同時多発テロ事件を思い起こさせる詞が刺激的だ。社会風刺が効いていて耳に残る。
Auto Aim beats & 13dogg
他にも、インストルメンタルや軽快なポップス、ロック調の作品などもあって、多種多彩な作品がYouTubeなどで聴ける。
最近はYouTubeやSpotifyなどで過去の名曲を手軽に聴ける時代になってきているが、リワークという手段がこれからスタンダードになれば、ますます名曲の需要が増大し、次の世代へ歌い継がれていくことになりそうだ。
レコードやCDでしか名曲が聴けない時代は、過去の名曲が時代とともに埋もれがちだったが、こうした新しい試みが名曲を永遠に生き続けさせてくれることになる。
そして、私にとっては、何より新たなアーティストを発見できるのが楽しみである。
以前は、大きなコンテストで結果を出すか、大手音楽事務所のオーディションに合格してメジャーデビューし、大々的なプロモーションによってメディアに取り上げてもらうしか全国区になれなかったが、今は、自ら発信するアーティストが1つのきっかけで全国区になれる時代。
この企画は、自ら発信するアーティストにとって、大きな追い風になりそうである。
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