画一化と標準化の違い
画一化と標準化は似ている言葉だけれど、意味するところは大きく違う。
画一化とは差異の否定である。それぞれに差異がある状態を、画一化された状態とは言わない。
標準化は差異の否定による差異の肯定である。技術規格やルールなどを統一することによって、それを土台にして新たな差異が生まれる。
エントロピーの理論で説明すると、画一化は「エントロピー縮減のためのエントロピー縮減」である。
反対に標準化は「エントロピー増大のためのエントロピー縮減」である。
エントロピーは誤解を恐れずに言い換えるなら、不確定性と同じ意味である。
つまり画一化は「不確定性縮減ための不確定性縮減」
標準化は「不確定性増大のための不確定性縮減」と言い換えられる。
マクロな視点から見ると、不確定性の増大は厄介なことに見える。政府や官僚は統制を好む。
しかしミクロな視点から見ると、不確定性の増大は可能性の増大でもある。だから市民は統制に反発する。
豊かな社会では、不確定性の増大ゆえに社会不安も増大する。そのため、統制を好む政府と不安に怯える市民の利害が一致することがある。
その時、画一化と標準化が混同される。