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急がば回れ

「罠で獲物を捕獲するコツはありますか?」

たまに新規猟師の方から、そう訊ねられる。
はじめにお伝えするが、その様なものは無い。

強いて言うなら、毎日山に入り、毎日痕跡を探し、毎日罠の点検をし、毎日どうすれば効率よく捕獲できるかを考えることが、コツのようなものかもしれない。

「急がば回れ」なのだ。

コツを訊いてくる理由は往々にして、手っ取り早く楽に成果を出したいという気持ちからだろう。

どんな業種にも通ずることだが、素人がちょっと聞き齧っただけで、その道のプロほどでは無いにしても、ある程度の成果を出すことは現実的ではない。

努力を積まずに、すぐに成果を出せるのであれば私もそうしたいところだが、そう現実は甘く無い。

たくさんの成果を出して、すごいなと言われる人々は皆、相応の努力をしている。
そのような相手に対して、簡単に成果を出したいという腹積りでコツを訊くのは失礼だと私は思う。


そんな私は、まだ狩猟を初めていない時期から山に入り、獣道を探して写真や動画を撮り、自分なりに分析をした上で師匠に「私はこう思うのですがいかがでしょう?」と意見を求めていた。

そうした日々を過ごしたのち、初めての狩猟解禁日には既に罠を仕掛けるポイントが複数箇所決まっていた。

予定通り罠を仕掛け、3日後には2頭の鹿を捕獲した。

こうした地道な準備と努力が、少なくとも狩猟に関しては絶対的に必要である。

これから猟師を目指す方は是非、今から少しずつ山に入るなりして努力を積むのが良いだろう。

そうすれば、先輩猟師にコツなんてものを訊く必要は皆無であるはずだ。

少々上から目線な文章になってしまったが、当たり前のことを書いただけなので、あまり気を悪くしないでいただけると幸いである。

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