日々、鳥獣駆除の依頼を受けて捕獲を行なっている。 被害を受けている人は害獣たちを敵だと認識しているが、私からすれば本当の敵は有害な猟師である。 「縄張り」というものがある。 それは獣にもあるが猟師にもある。 私も幾つかの猟場を持ち縄張りとしている。 私の場合は、依頼を受けて成果を上げることで依頼主(地主)に信用されて、必然的にその猟場が私の縄張りとなっている。 しかし、中には「そこはワシの縄張りだ」と主張するだけで何も駆除をしない猟師もいる。 これが私は本当の敵だと
獲った獲物に感謝する。 それが美徳だとされているように私は感じている。 しかし、本当にそれは美徳だろうか? 「いただきます」 「ごちそうさまでした」 これは小学校の給食の時、いや就学前から親に教えられる食事の前後にある作法だ。 これを私は、作った人や食材になってくれた動物たちに感謝するという意味で教えられた。 私と同じように教えられた人は多いのではないだろうか。 私は狩猟を初めるまで、この作法とその意味を理解し守ってきた。 だが、狩猟を通して私の中にこんな疑問が
勇猛果敢に獲物に立ち向かう逞しい猟師。 小説や漫画の世界であれば、とても格好いいと私は思う。 しかし、現実世界で同じようにしようとする者がいれば、私はただ無謀で無計画な素人だと感じる。 狩猟の世界では毎年怪我人や死人が出る。 それは、慢心による事故がほとんどだ。 いつも入っている山だからといって、崖から落ちない保証はない。 いつも倒しているサイズの雄鹿だから大丈夫。 そんな慢心が生死を分けている。 そんな現状があるが故に、私はいつも意識していることがある。 それ
「罠で獲物を捕獲するコツはありますか?」 たまに新規猟師の方から、そう訊ねられる。 はじめにお伝えするが、その様なものは無い。 強いて言うなら、毎日山に入り、毎日痕跡を探し、毎日罠の点検をし、毎日どうすれば効率よく捕獲できるかを考えることが、コツのようなものかもしれない。 「急がば回れ」なのだ。 コツを訊いてくる理由は往々にして、手っ取り早く楽に成果を出したいという気持ちからだろう。 どんな業種にも通ずることだが、素人がちょっと聞き齧っただけで、その道のプロほどでは
現在では狩猟は1つの仕事という位置付けになりつつある。 というのも、狩猟者の減少に伴い野生動物の増加が著しく、農作物への食害や車と接触する交通事故などの弊害を生むようになり、自治体からの業務委託という形で有害鳥獣駆除という仕事ができた。 具体的には自治体で指定された有害鳥獣(鹿や猪)などを狩ると一頭につき数千円から数万円の報奨金が支払われるという仕組みが1番オーソドックスと言える。 しかし、この仕組みには致命的な欠点がある。 根本的な解決には至らないという点だ。 なぜ
はじめまして。 いぬたと申します。 日本国内のとある田舎町で有害鳥獣駆除の仕事を生業として生活しております。 主に、鹿・猪の駆除をしております。 ここでは、駆除を通して感じたことや考えたことをエッセイのような形で発信いたします。 駄文ではありますが、お付き合いいただけると幸いです。 特に自己紹介をしたいことはありませんので、短いですがこれで終わりにしますね。 それでは、よろしくお願いいたします。