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1月15日 ラウ

僕の名前はラウ。
チワワとダックスの血を引くチワックス。
いつも丸坊主だけど、ライオン風の尻尾だけはお気に入りだ。

僕は生まれてすぐに兄弟達と離れ、1人暮らしの若い女の人のペットになった。

ほとんど家にいない人だった。

1年も経たないうちに、知り合いの男の人の家に引き取られた。

出張が多く、よくペットホテルに預けられた。

1年くらい経つと、また飼い主が変わった。

今度は新婚夫婦のペットになった。

しばらくすると、夫婦に子供が生まれた。

するとなぜか、僕の新しい飼い主も決まった。

次に僕を引き取ってくれたのは老夫婦だった。

この時、僕は5歳くらいだった。
誕生日はもう誰にも分からず、老夫婦に引き取られた日が僕の誕生日になった。

それから僕は老夫婦にとても大事にされた。

1年が過ぎ…

2年目も過ぎた。

僕は今まで飼い主が何度も変わり、住む所もかわる。
それが当たり前だと思っていた。

でも、今回は違う気がする。

このまま、おじいさんとおばあさんと僕とで、
温かく幸せな生活を続けていける気がする。

いつしか僕はそんな気持ちになっていた。

数年経ったある日、

おじいさんが倒れ病院に運ばれていった。

僕は家でおじいさんの帰りを待ち、おばあさんは病院と家を何度も行き来した。

また飼い主が変わってしまう恐怖に怯え、おじいさんの帰りを祈り、おばあさんを励ました。

数日後、

おじいさんが元気になって家に帰って来た。
僕は嬉しくて、ガラにもなくはしゃぎ回り、おじいさんの袖をくわえて離さなかった。

するとおじいさんは、僕のおでこに手を置き、親指だけゆっくり動かしながら言った

ラウよ、心配したじゃろ。
大丈夫じゃ。お前よりは先にはいけん。
最後まで面倒みると決めとるんじゃ。
なぁ!ばあさんっ。

僕はこの時、初めて知った。

                わん♪

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