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おすすめ!民俗学マンガ『モズ 葬式探偵』シリーズ!

今回はkayserが担当します。
ここのところ、民俗学に関する作品を紹介していますが、またまた民俗学マンガを紹介します。先日紹介した『鬼を飼う』と同じ作者、吉川景都の『モズ 葬式探偵』シリーズ。タイトルにもある通りこの作品のテーマは、「お葬式」です。

最近はサイズの小さなものなどが流行っているお葬式ですが、実は地域ごとに形式などがそれぞれで、奥の深いものです。筆者も幼い頃、経験した地元のお葬式の独特な形式を今でも鮮明に覚えています。

この作品では、各地のお葬式が登場する上に、いろいろな事件が起こります。それを解決していくのが、主人公のモズこと民俗学教授の百舌一郎。そんなモズの活躍やお葬式のウンチクが盛りだくさんな『モズ 葬式探偵』シリーズを紹介します。

『モズ 葬式探偵』とは

民俗学をこよなく愛するマンガ家、吉川景都。本作『モズ 葬式探偵』は、民俗学的にみる日本各地のお葬式を軸に、それぞれに起きる事件を解決していくというミステリーです。

お葬式ひとつとってもさまざまで、一般的に知られているいるのは仏式葬儀。ほかにも、神式葬儀などがあります。こちらは、新道の葬儀のことで、正しくは、新葬祭というそうです。

なぜ葬儀が祭かというと、亡くなった人に「家の守護霊になっていただく儀式」という意味があるからのようです。この神式でも、地域によって異なっています。お葬式って本当に奥が深いですよね。

そんな各地のお葬式に出かけていく度に、事件に巻き込まれてしまう主人公の民俗学教授、百舌一郎助手の原田都。彼らが事件の謎を解いていく物語が『モズ 葬式探偵』です。

休載を経て

この作品、もともとは『葬式探偵モズ』というタイトルで「角川コミック怪」で連載されていました。雑誌の休刊とともに連載がが止まっていたところ、集英社の「officeYOU」の目に留まり連載が再開することに。

コミックスも角川版で1冊、集英社版での3冊が刊行されています。ちなみに、今回は、集英社版をもとに紹介しています。この3冊はそれぞれタイトルが異なっており、『モズ 葬式探偵の挨拶』『モズ 葬式探偵の憂鬱』『モズ 葬式探偵の帰還』となっています。『シャーロック・ホームズ』シリーズへのオマージュでしょうか。

各地での事件を解決するとともに、百舌の大学時代の親友、狩鹿荘平との因縁にも決着がつくことに。そんなところもみどころです。

お葬式の意味

昨今の新型コロナウィルスや各地での災害など、日本だけでなく世界的に不安定な社会情勢が続いています。多くの人命が奪われても、家族の方々の中には、きちんとしたお別れができず悲しい、やり切れない思いをされた人も多いことでしょう。

形式や大きさはさまざまですが、本作を読むと、故人とのお別れを本当に大事にしてきた人々の思いが窺えます。今回は、「お葬式」がテーマとなっていましたが、民俗学とはまさに、そこに生活する人たちの人やものに対する思いを知る学問であることがわかります。

現在の情勢を合わせて考えると、それぞれの方々が納得した形でのお別れができる世の中に戻ってほしいと切に願います。

kayser



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