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バンド好きが悔しくもハマったアイドルソング

バンド好きを自称する上で、
アイドルソングはパンドラの箱だ。

何を隠そう我々バンド好きは、
バンドが好きと言う事がある種のステータスであり、
J-POP好き、アニソン好きとは、
一線を画した存在であると自負をしているからである。


アイドルソングはパンドラの箱

我々バンド好きは、
J-POP好き、アニソン好きとは、
一線を画した存在であると自負をしている。

しかしそれらも同じ音楽である以上、
バンド好きとは言え、刺さってしまうことはもちろんあり、
その度に我々は、様々な言い訳をし続けてきた。

J-POPだが構成はバンドだから。
アニソンだが、楽器隊がカッコいいから。
あくまで自分はバンド畑の人間であることを主張し、
音楽は平等であるスタンスを前面に出し、
それらが好きと言う事をなんとか肯定してこれまで生きてきた。

しかしアイドルソングだけは、
バンド好きが手放しに肯定できない
重大インシデントをはらんでいる。

それは、歌い手がアイドルだからである。

数年前のアイドル狂時代にアイドルは乱立し、
アイドルソングも、幅広いジャンルの音楽を生み出している。

バンドはもちろん、メタルやラップなど、
かつてのアイドルでは考えられないジャンルの音楽を取り入れ、
アイドルソングも独自の発展を遂げているのは確かだ。

しかしながらアイドルソングは、
歌い手がアイドルなのだ。

歌がうまいアイドル、パフォーマンスがうまいアイドル、
もちろんアイドルも様々で、評価のされ方もそれぞれだ。

しかし一貫してアイドルは、
音楽だけが評価されてなれるものではない

いくらいい曲を作ろうが、
ミスチルの桜井さんはEXILEには入れないし、
高橋ジョージはジャニーズに所属はしないだろう。

アイドルはアイドルである人自身が愛される必要があるが、
バンドは必ずしも人が愛される必要はなく、
あくまでも音楽を評価する傾向が強い。

アイドルソングが好きであるということは、
アイドルである人が好きであるという印象
人に与えかねない要素となってしまう。

音楽そのものではなく、
アイドルが好きだから好きなんだろうと。


悔しいが刺さってしまうアイドルソング


とはいえアイドルソングも音楽である。

いくらこれはアイドルソングだからと、
バンド好きの尊厳と地位向上のために、
非凡感を装っていても、聞いているとハマってしまうものもある。

なんなら、今まで聞いてきたバンドの音楽よりも、
キャッチ―でわかりやすく、滾る曲を見つけたりする。

さらには、バンドが曲を提供していたり、
プロデュースを行ったりなど、
アイドルがよりバンドに近い存在にもなってきており、
アイドルとバンド、アイドルと音楽の壁は限りなく低くなってきているのだ。

何故私がこれほどまでに、前置きをするのか。

それは、今から紹介するアイドルソングが、
悔しいがめちゃくちゃ好きだからである。


1.でんでんぱっしょん【でんぱ組.inc】


言わずと知れた、でんぱ組.incの2013年に発売された名曲である。

まず初めにこの曲はwinnersというバンドの、
玉屋2060%が楽曲提供をしており、
この曲の他に、サクラあっぱれーしょん、でんぱーりーナイトなど、
様々な楽曲を提供し、才能をいかんなく発揮している。

そもそも玉屋2060%が楽曲を提供していると異時点で、
バンド好きは閉口を余儀なくされるだろう。

winnersの名を知らぬものはいないばかりか、
出す曲出す曲がpopでキャッチ―で、
バンドサウンドもかっこよさしかない。

話は戻して、でんでんぱっしょんだが、
まず冒頭の溜めからの飛び出しが、
体中の血液を一気に沸騰させるほどの高揚感をもたらす、
超絶怒涛の最強フレーズから始まる。

もうこの時点で
アイドル好きはバンド好きのパンドラの箱なんて言葉
頭のどこかに吹っ飛ばされている

一言、カッコイイ

そしてAメロからサビまで溜めとキメの連続で、
一息つかせる暇もなく、高ぶったままサビに入ったかと思えば、
疾走感に圧巻されることは間違いない。

ベースのオクターブと突っ走る早口のボーカルが相まって、
フレーズが頭に張り付いて離れないのだ。

極めつけがラスサビ前。

アイドルソングなのに、
ラスサビ前のブリッジが
鬼かっこいいベーススラップなのだ。

バンド好きこそハマってしまう
沼のようなアイドルソングが、
このでんでんぱっしょんではないだろうか。

2.BORN TO BE IDOL 【バンドじゃないもん!】


バンド好きには挑戦的にも思える
名前を引っ提げて活動をしている
バンドじゃないもん!

中でも、BORN TO BE IDOLは、
アイドルソングらしからぬ王道ロックの気持ちよさ
を感じさせる名曲に仕上がっている。

この曲をプロデュースしたのが、
GLAYのギタリストHISASHIであり、
他に恋する完全犯罪などは、本曲よりもGLAY色が強く、
これもまたカッコイイ楽曲である。

ただこのBORN TO BE IDOLに関しては、
アイドルとバンドのアンバランス感が心地いい

まずボーカル入りのアイドルソングらしい
カワイイ飛び出し方をしているにも関わらず、
バックの楽器妙に重たい

それも微妙に重たいのだ。

コテコテの重低音というわけではなく、
アイドルソングにしては、少し楽器隊が分厚いといった印象なのだ。

そこからも、アイドルとバンドのアンバランス感は、
一曲通して続いていく。

歌い方もAメロBメロともにかなりアイドルソングらしいが、
楽器隊は依然として気持ち重たくロックの香りが常にしている。

さらにポップでノリの良いサビが多いアイドルソングの中で、
サビはかなりもったりしていて、歌い手はアイドルでかわいらしいのに、
曲全体はバンドらしいという、不思議な空気感をもった曲である。

この不思議な空気感のアイドルソングというものに、
私は出会ったことがなかったせいか、
この曲はかなり衝撃的な曲となった。

キメキメというほどのキメでもなく、
サビの途中のブリッジ?というレベルでしか溜めず、
どうしてこれが気持ちよく感じるのかわからないが、
聞き終わるとなんか気持ちよかったなと思える
不思議な名曲である。

3.ヴぁんでぃっつ!!!【あヴぁんだんど】


シンガーソングライターつるうちはな
プロデュースするアイドルグループで、
プロデューサーの彼女に関してはバンドでもない

私自身、つるうちはなの旦那が昔やっていた、
サンダーバームというバンドが好きで、
その流れで彼女の曲も好きになった。

そしてこのヴぁんでぃっつに関しては、
つるうちはながプロデュースしているだけり、
曲を通して、ぽわぽわした緩い空気感物悲しさを感じさせる、
つるうちはなの魅力が詰まった曲となっている。

まずこの曲は、アイドルソングにも関わらず、
全然キメキメの曲になっていない

ピアノソロから始まり、ソロをなぞるようなフレーズのギター、
そしてボーカルが入ってきても、弾き語りが出来そうなほど、
アイドルソングなのに、まずピアノが分厚い

そのピアノの音色と言い、フレーズと言い、
どこか物悲しさを感じさせる、心を震わせてるフレーズになっている。

ボーカルの女の子たちはかわいらしく歌い上げるし、
それ以外の楽器隊は、ひずみもバキバキロック調
このことで、サビの高ぶりも気持ちよく疾走感もあるのだが、
全体的には何処かフワッとした空気感を持っている。

この理屈ではなく感覚に訴えかけてくる、
カッコいいでも、カワイイでも、悲しいでもない、
全部を持った中間の感情にさせてくれる神曲が、
あヴぁんだんどヴぁんでぃっつ!!だ。


バンドの椅子に座ったアイドルソング


でんぱ組が流行った時、私の周りの友達
こぞってアイドルにハマりだした時期があった。

バンドの代わりにアイドルのライブに行き、
車の中でもでんぱ組が流れ、
今までバンドが座っていた位置アイドルが座るようになった


アイドルはパンドラの箱である。


「俺はアイドルって言うより、曲が好きやから!」

必死になっていた友達を、
半笑いで見送っていたあの頃の僕が懐かしい

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