教訓が変わっちゃってる昔話
昔から受け継がれている昔話は多数存在しております。その中には人生の教訓を持っているものも多く、生きる上で大切なものを学べるお話として、昔話は大変重要なコンテンツと言えるでしょう。
ただその教訓が、変わってきているような気がするんですね。
僕らが子供の頃から考えると、言いつけを守らないといけない、人に親切にした方がいいなど、そう言った教訓として教えられていたと思います。ただこの歳になって改めて昔話を見てみると、「そこじゃなくなってないか?」と言う昔話が結構多いように思うんですよね。
それこそはなさかじいさんとかも、そうです。
このお話は、優しいおじいさんといじわるなおじいさんが出てきて、片方は良いことをして幸せになり、片方は欲を出して失敗すると言う、典型的な昔話構成でございます。
ただ順を追ってストーリーを見ていると、優しさと卑しさの関係性だけが、この物語の教訓じゃないように見えてくるんですよ。
昔、昔あるところにやさしいおじいさんが住んでいました。
おじいさんはポチと言う犬を飼っていました。
ある日、おじいさんはポチと山に出かけたところ、突然ポチが吠えだしました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
まずこの話、犬が山で「ここほれワンワン」と言うところから始まるんですよ。そして小判を見つけて、大金持ちになるやさしいおじいさん。
このことを聞くといじわるな、隣のおじいさんはポチをこっそり山につれて行くとポチに吠えさせました。
いじわるなおじいさんがポチのないていた場所を掘ると、そこからわれたかわらや茶わんがたくさんでてきました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
そしていじわるじいさん。同じことをしたのに、結果が振るわず、犬を殴り殺してしまいます。
それを知ったおじいさんは、ポチがかわいそうなので庭に墓を作ってやると、不思議なことが起こりました。
ポチのお墓から、大きな木が生えてきて、見る間に大きくなりました。
おじいさんは、その木を切って、ウスを作りました。
そして、そのウスでおもちをつくと、なんと、おもちが小判に変わったのです。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
優しいじいさんはまたしても、成功を収めます。それを聞いたいじわるじいさんは黙ってはいません。
これを聞いて、いじわるなおじいさんはこっそりウスを盗み出しおもちをつくりました。
しかし何も起こらないので、いじわるなおじいさんは怒ってウスを燃やしてしまいました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
短絡的ないじわるじいさん。
いじわるとかのレベルやなくて、ただの街のヤバい人ですね。
やさしいおじいさんは残念がり、その灰を家に持ち帰りました。
やさしいおじいさんは、かれたサクラの木に登って、ウスの灰をまきながら言いました。
「枯れ木に花をさかせましょう。枯れ木に花をさかせましょう。」
すると、それまでかれていた木にサクラの花がいっせいにさきました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
犬の墓から咲いた木を臼にはするのに、炭は撒き散らすおじいさん。
コイツもコイツ。
これを聞いたいじわるなおじいさんは、残った灰を持って、木に登り、お殿様が通りかかった時にいいました。
「私こそ、桜の木を咲かせる名人です。これから咲かせましょう。」と灰をまきました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
そしてまたいじわるじいさんはやっかみます。
そりゃそうですわ。犬殴り殺す奴が、灰を巻かなないわけがないっすもん。
しかし何も起こらず、さらに悪いことに、お殿様の目に灰が入ってしまいました。
お殿様は大変怒っていじわるなおじいさんをろうやに入れてしまいました。
ーはなさかじいさん【童話の王国】
そして勧善懲悪エンドでございますよ。
この一連のストーリーを見てまず、思いませんでしたか?
いくらいじわるじいさんとはいえ、不遇やな、と。
そもそもの話は、やさしいじいさんが小判を見つけるところから始まりますけど、この時点ではやさしいじいさんも、いじわるじいさんも、ただのじいさんという意味で、同じ土俵にいるやないですか。
日頃からどれだけの良いことや、悪いことをしてきたのかはわからんですけど、物語上ただのじいさんであることは変わりないやないですか。その同じ立ち位置の2人のじいさんに、まず運が向く方と向かない方の差が生まれてるや無いですか。
まずこの時点で教訓ですよね。
人生は全然平等なんかじゃない。
まぁそこからの行動は、卑しい心を持つなって教訓に繋がるとは思うんですけど、ただ気になるのが、いじわるじいさんは同じ事をしてるだけなんですよ。
今までの生き方がいじわるではあったものの、やさしいじいさんと全く同じ事をやって、それで成果が出ずに魔がさす、ってのを繰り返してるわけじゃないですか。
いじわるじいさんって、初動は悪いことはしてないんすよ。
ただ真似しただけで、人生棒に振ってるんですよね。
ネットではパクツイ警察が蔓延ってますけど、このいじわるじいさんは、いじわる以前にパクリで人生を棒に振った奴なんですよ。人の真似して叩かれて終わってしまった、可哀想な例とも取れるんですよね。
はなさかじいさんは、情報にまみれて腐ってしまう現代社会にも、教訓を与えてくれる昔話なんやないかと、そう思うんですよね。
昔話は、長い間語られている分、時代時代に捕まえ方を変えて生きながらえてきたのかもしれません。
抽象的なものほど人気が出るとも言いますが、勝手に抽象化したものを、超読解で今風にするのも、悪くはないと思いますよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?