是非聞いてほしい「じゃない曲」
大抵のアーティストには代表曲ってものがございます。
King Gnuだったら白日、YOASOBIなら夜に掛ける、瑛人なら香水ですかね。アーティストの顔とも言える、代表となる曲ってものがどのアーティストにも一曲は存在しています。
代表曲は知名度もあり、聴きやすいものも多いので、そのアーティストの一番いい曲になりやすいものやとは思います。ただそれじゃないのが本当は良いってアーティストも数多く存在しております。
例えばプリンセスプリンセスなんて、それじゃないアーティストの良い例ですよ。
最近までプリンセスプリンセスの代表曲といえば、ダイアモンド一択でした。刻みのリズムが心地いい、世代を超えるノリの良さを持った代表曲でございます。
ただ最近になって、Mが代表曲になりつつあるじゃないですか。たしか元々カップリングやったと思うんんですね。いわばダイアモンドのじゃない方の曲やった訳ですよ。
ダイアモンドもいいですけど、じゃない方のMもいい。じゃない名曲の最たるもんやと思うんですね。
そこで今回は、独断と偏見でじゃない名曲を、紹介していきたいと思います。
夕暮れ時の寂しさに【たま】
唯一無二のエキセントリックバンド、たまでございます。
たまの代表曲といえば、言わずと知れたこの曲。
さよなら人類一択やと思うんですよ。
ただ違うんですよね。
たまは、夕暮れ時のさびしさになんすよ。
そもそもたまは、メンバー全員が曲を作って、基本的に作った人がボーカルをするってバンドなんですね。
それでいてさよなら人類は、柳原陽一郎って言うピアノの人が作った曲なんですよ。さよなら人類では「二酸化炭素を吐き出して...」って言うてる人ですよ。オゾンのダンスとかも作って歌ってますね。
一方で夕暮れ時のさびしさには、知久寿焼が作ってる曲なんですよ。さよなら人類だと、リードボーカルと、「ついたー!」位しか声の印象って残らないと思うんすよ。ただこの知久さんってのが、めちゃくちゃ味があるボーカルなんですよ。
最近で言うと、ヒガシマルうどんスープのCMとかも知久さんですね。あの声の人ですよ。甲高くて独特な、味のあるボーカルじゃないですか。
そんな知久さんのボーカルの魅力と、たまのエキセントリックな雰囲気、そこに哀愁を加えた名曲が、夕暮れ時のさびしさになんですよ。
さよなら人類も名曲ですが、たまは夕暮れ時のさびしさにを聞かないと始まりません。聞いたことがなければ、是非一度聞いてみてはいかがでしょうか。
ピースサイン【米津玄師】
米津玄師は僕の中で不思議に思ってまして、lemon、感電、打ち上げ花火、パプリカといくつも代表格の曲を出してるのに、このピースサインってなぜかそこまで人気がないんですよね。
もちろん、代表格の曲もめちゃくちゃいいですしよ。アルバムの中のなんのタイアップもない曲だって、総じて名曲。化け物みたいな人ってのは言わずもがなでございます。
でもその中で、何故かピースサインってお馴染み感がないんですよ。どうしてあんなに疾走感があって、ベタベタのポップスっぽいのに細かい楽器がカッコいい名曲が、代表曲っぽい位置にいないんですかね。
他が良すぎて霞むんですかね。バンドサウンドが流行りじゃないんですかね。それっぽい理屈は思い付きますけど、やっぱりこの曲は俺の中で米津玄師のナンバーワンの曲なんですよ。
ここ最近で一番かっこいい走り抜けてく4分間が、ピースサインやと思うんですよ。
パプリカじゃないんすよ。感電より沸るんですよ。米津玄師は、ピースサインなんですよね。
遠き日【アンダーグラフ】
ツバサで有名なアンダーグラフからは、遠き日でございます。
まず言っておかないといけない事が、アンダーグラフはツバサもしっかり名曲なんですよ。以前、実はベースがかっこいい曲でも紹介しましたが、とにかくベースがカッコよくて代表曲に相応しい名曲なんですね。
ただ遠き日も負けてはいません。ベースのカッコ良さも持ちつつ、それでいてこの曲はメロが最強なんですよね。
メロがいい曲って、一番感覚に近いところやから紹介する上では難しいところがあるんですよ。
俺の中でメロの天才といえば、銀杏の峯田さんなんですよ。峯田さんの作るメロって独特で、爆発的な熱量で暴れ回る激しい曲なのに、どこか切ない気持ちにさせられるんですよね。
ただコレも賛否両論な訳ですよ。俺みたいに刺さる人には刺さるけど、刺さらない人にはただの曲になってしまう訳です。メロがいい曲って、そんな個人差があるから紹介が難しいと思ってるんですね。
そんな中で遠き日、わかっていながら言わずにいられないんです。
メロがめちゃくちゃいい。
この曲はメロ勝ちの曲なんですよ。どんな理屈をつけても、結局メロディがいいんですよね。
ベースラインが変わっててかっこいいし、展開もベタながら溜めがあって沸ります。そんな理屈は置いておいて、ただただメロディがいいんですよ。哀愁があって、響く曲なんですよね。
このメロがハマるかハマらないか。聞いたことある人も忘れかけてる人も、もう一度皆さんに聞いていただきたい一曲でございます。
忘れられない日々【ガガガSP】
「じゃない方以前に、代表は何?」なんて言わせません。
晩秋、はじめて君としゃべった、人間っていいなのカバーなど、そこそこ知名度のある青春パンクバンド、ガガガSPでございます。
俺がこの世で一番好きなバンドのガガガSPですが、ガガガSPは忘れられない日々一択なんですよ。
この曲の何が良いって、まず歌詞ですよ。
夜空を見上げる事が 僕は最近少し多いです
コレが歌い出しです。夜空を見上げながら、物思いにふけって、たそがれている、どこか物悲しい切ない情景が浮かぶ一節です。シンプルで分かりやすい一行ですけど、これほど頭にバシッと情景が浮かんでくる歌詞ってなかなか無いと思うんですよ。
これひとつでも単語が違えば、印象が全然違うと思うんすね。
「夜空を見上げる事が 僕は多いです」って言われても、夜空見てる人で終わってまうんですよ。「夜空を見上げることが 僕は最近多いです」だけだと、説明チックになりすぎるんすよ。「夜空を見上げることが 僕は最近少し多いです」って言う、下手くそな日本語だからこそ、何か切なくなるような事があったのかなって思える一文になるんですよ。
そんな歌詞の情緒もありつつ曲調はパンク。ハイテンポでドラムとベースを刻んで、ギターは暴れるように駆け回る。このアンバランス感がパンクのいいところで、パンクの中でも秀逸なのがこの曲なんですね。
もう一つ、この曲のMVは俺の中では世界一なんですよ。
飲み会で暴れ回って歌うってだけのMVですが、飲み会の楽しそうな感じとパンクの激しさに曲の持つ切なさが加わって、アンバランスな神MVに仕上がっております。
ぜひ皆様、曲と合わせてMVもみていただきたい一曲でございます。
じゃない曲は入り口
一曲しか知らないアーティストって沢山いると思いますが、それはアーティストのコアな部分をほとんど知らないといっても過言ではありません。
代表曲は大衆受けしやすい曲で、アーティストの個性を大衆に寄せた曲であることがほとんどです。もちろん、いくら大衆に寄せたとはいえ、そこにはそれぞれの個性もあり、良さもあります。
でもせめてもう一曲。
せめてもう一曲聞いてから、そのアーティストを「懐かしい」の引き出しにしまってもいいんじゃないかと思うんですよ。
じゃない曲には、アーティストのコアな個性が詰まっています。
一曲と言わず二曲三曲と、それぞれ気になったアーティストの沼に、皆さんもハマっていただきたいものでございます。