見直されるべき、うばすてやまのヒヤヒヤ感
姥捨山と言う昔話をみなさんご存知でしょうか?
言葉自体は聞いたことがあると思います。老人を山に捨てると言う、昔あった残酷すぎる習慣の事でございます。今でも年配の方を、どこかに追いやる様な出来事があった時に、比喩として使われる事が多いですよね。
そんな姥捨山なんですけど、実は昔話として一応ストーリーがあるんですよ。
そしてそのお話が、一周回って現代に受けそうなんですよ。深読みできるヒヤヒヤさせてくれるストーリーなんですよね。
むかし、むかし、わがままなおとの様がいました。そのおとの様は年寄りが大嫌いでした。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
この物語は、年寄りが嫌いなお殿様から始まります。
ある日、との様は、家来に国中に立て札を立て村人にこんなことを命じました。
「六十を過ぎた年寄りは山に捨てるべし。従わない家はみなごろし。」
誰もが、家中のものが殺されるのを恐れて、仕方なくとの様の命令に従いました。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
最初からクライマックスレベルの暴言から始まります。
ネット掲示板でも見ない様な、エゲツない文言。
そしてシーンは変わって、主人公の男の子に移ります。それを見た男の子は、母親を山に捨てに行かなければいけない状況になってしまいましたと。
若者は、しぶしぶ母親を背中に背負うと、山を登りましたが、やはり母を山に置き去りにすることはできず、母親を背負って、夜こっそり家に戻り、そして、裏の納屋に隠しました。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
ただ若者は、どうしてもお母さんを山に捨てる事ができなかったんですね。
見つかれば皆殺しになる状況で、母親を連れ帰ってしまった若者。生きた心地がしない毎日に違いありません。
数日たった日のこと、との様は、村人に灰の縄を作るよう命じました。
「お母さん。おとの様が灰の縄を作れとのことです。やってみましたが出来ません。誰もできないと、年貢が高くなります。」
「息子よ。それは簡単ですよ。教えて上げましょう。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
そして若者は年長者がいなくなった街で、お母さんの知恵を借りて縄を完成させます。今まで普通にできていた事が、年の功が無くなった世界で出来なくなり、それを何故か難なく成功させた若者。
お殿様は。
「お主、なかなかやるな。良かろう。それでは、もう少し難しい問題を出そう。これは、一本の棒である。どちらが根の方で、どちらが枝の方か、一両日中に、はっきりさせなさい。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
唐突に問題を出すんですね。
思いませんか?
...コレは、どっちや。と。
お殿様は縄を作ったことをまっすぐ評価してくれて「なかなかやるな」と言ってくれたんやろうか?
街の困りごとだった縄作りに関しては評価してくれたとしても、次に問題を出してくるというのは、どういう意味があるのか?
もしかしてお殿様は、勘づいているのでは無いだろうか。
若者は、棒を家に持ち帰りましたが、途方にくれ、母にたずねました。
「簡単ですよ。水の入った桶を持ってきなさい。」
息子は桶を用意し、棒を水の中に入れました。
「見てご覧。下にある方が根っこで、浮いた方が枝ですよ。」
若者はとの様の前で、答えを言いました。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
案の定若者は、母親に尋ねます。
母親は年の功で簡単に問題を解き、若者は喜んで城へ向かった事でしょう。
この後起こるかもしれない、危険を何一つ省みることもなく。
「やるな。それでは一番難しい問題を出そう。叩かなくても音が出る太鼓を作ってきなさい。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
ただお殿様は動きません。
この時のお殿様はどんな表情をしているかを若者が見ていない当たり、危機感の無さを感じます。
若者は、真っ青な顔をして太鼓を携えて家に戻ると、母に助けを求めました。
「とても簡単ですよ。山で蜂を数匹捕まえてきなさい。」
母親は、少し太鼓の皮を緩めると、蜂をその中に入れ、また皮を締めました。太鼓が音を立て始めました。
若者は音のするたいこをとの様に渡しました。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
ここまで来ると、もはや母親は自分が死ぬ覚悟で、息子に助言をしてる可能性すら出てきますよ。
ただそうなると、母親は息子が殺される事も予想して助言をしている事になり、考えれば考えるほど、関係性が複雑になってくるんですね。
「参った。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
殿様は言うわけです。
「そちは一人で三つの難題を解いたのか。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
とうとう殿様が動きます。
絶対殿様、ニヒルに笑ってるでしょう...!
あかんよ...あかんよ...!!
「おとの様、実を申しますと、問題を解いたのは、私ではなく、母親です。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
あかんて!!
「おとの様は、年寄りを山に捨てるよう命じました。でも私は、そのような残酷なことは出来ませんでした。母を納屋に隠しました。年寄りは、体は弱くなっても、若い者より物知りです。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
絶対あかんて!
確実に死ぬ奴やん!!
金田一なら、殿様ごと死ぬレベルの大罪やんけ!!
との様はしばらく考えて
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
メリケンサックでも装着するんですかね?
体に巻きつけたダイナマイトを起爆させて、新世界を作るんですか?
「その通りだな。わしが間違っていた。もう年寄りを山に捨てるのはよそう。」
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
え?
それからその国はお年寄りを大切にする国になりました。
ーうばすてやま【昔話 童話童謡の王国】
なんやろう。
良かったのに、そうじゃない。
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