おさかな天国の「僕」が、カレイになった可能性を捨てきれない
20年ほど前、スーパーの鮮魚コーナーで流れていたおさかな天国が、一大ブームを巻き起こしました。キテレツな歌詞とキャッチ―なリズムで当時の人々を魅了し、紅白出場まで果たした大ヒットソングでございます。
今の子供達にどれ程の知名度があるのかは解りませんが、Youtubeで検索をしても、子供用の振り付け動画などが多数UPされており、20年以上たった今でも、一定の支持を受けている名曲であることには間違いございません。
そんなおさかな天国ですが、魚がたくさん出てくる歌詞が一番の特徴となっています。サビの「サカナ サカナ サカナ」のキラーフレーズはもちろんの事、Bメロの「サンマ ホタテ ニシン…」と海産物の種類を並べる歌詞も、おさかな天国という名前にふさわしい内容となっております。
ただ、問題はAメロの歌詞なんですよ。Aメロの歌詞は、おさかな天国で唯一独自の世界観を持っている部分でして、メッセージが込められていそうな様子なんですね。
好きだとイワシてサヨリちゃん
タイしたもんだよスズキくん
そして掛け言葉になっています。「言わして」と「イワシ」や、「大した」と「タイ」が掛け言葉になっていて、サヨリとスズキを形容しています。
イカした君たち見習って
僕もカレイに変身するよ
そしておさかな天国の僕は、イカしたサヨリちゃんやスズキくんを見習って「カレイ」に変身いたします。もちろんこれも「華麗」と「カレイ」の掛け言葉。サビの「魚を食べると頭が良くなる」につながり、魚を食べて健康になると言った歌詞。
と、思っていたんですよ。
マスマスきれいなサヨリちゃん
ブリブリしないでスズキくん
これは2番のAメロです。スキだとイワシて欲しかったサヨリちゃんはマスマスきれいになり、スズキくんはなぜかブリブリ怒っています。
ぼくらが好きだとサケんでも
風にヒラメくコイしい気持ち
そして僕パート。ここでは好きと叫んでも振り向いてもらえない気持ちが歌われています。素直にこれは、サヨリちゃんに言っているのだと予想できます。サヨリちゃんが好きなスズキくんが、嫉妬して怒っていることにも説明が付きますし、ちやほやされて綺麗になっていくサヨリちゃんの姿も見えてきますよね。
ただみなさま、おわかりでしょうか。
2番は僕じゃなくて、ぼくらなんですよ。
一番はぼく単体が、さよりちゃんやスズキくんに憧れている様子が描かれています。詳細はわかりませんが、周りがうらやむようなお似合いのカップルだったんでしょう。イカしたサヨリとスズキのようになりたい、そしてカレイに変身をする訳ですよね。
そして二番では、なぜかスズキくんが怒っていて、僕ではなく僕らが好きと叫んで撃沈している訳です。これは、僕が人間ではなくカレイになって、サヨリちゃんに群がる多くのサカナと一緒になって、スキだと叫んでいるんやないかと思うんですよ。
カレイに変身するという言葉は、華麗ではなくカレイなんやないかと。
それが、僕と僕らの使い分けに隠されているんやないかと思うんですよね。
ちなみにおさかな天国に出てくる海産物は31種類なんですけど、10種類はサカナではありません。
アサリやホタテなどのカイが3種類、蟹などの甲殻類、いくらなどの卵、イカなどの軟体動物がそれぞれ2種類ずつ紛れ込んでいます。
これらはまぁ別にいいんです。ただ、納得がいかないのが紛れ込んでるんですよ。
思いません?
おさかな天国に「しめさば」がおったらあかんでしょ。