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【短歌】街のアボカド

喫茶店に行こうか
迷っているような午後

ふるふると
窓辺に注ぐ
ひだまりに
右手を浸して悲しみを知る

覚えているか軽
なんでもない日に御守りを
バックミラーに
吊るしたことを

結婚指輪外した夜は
米研ぎ易しおかわりを聞く

幸せはひかりであった
僕は目を伏す

知らない街の
いつかの午後に
椿がぽそり
道ひとつ春

人恋知らずして急く
信号機青 雨の五歩先

やわらかな西陽で黄色は霞むので
二月あひるはたまご産むらし

赤く打つわが拍動はそら豆の
上に摘まれし君に会いたし

戦争も知らない曇り空の下
小さくなったおにぎりを食む

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