創作メモ(2020/10/24):2進法プランク単位系、アサシンウェア
物理的最小単位に基づくプランク単位系を、10進法ではなく2進法で扱った場合の例。
物理量に関する思考全般の基本的な規約として、現人類の脅威たる一大勢力の、インフラ面を一手に受け持つ情報資産管理AIに、ある時期から全面的に適用されている。
多くの人間にとっては、作中の時代においても、国際単位系(SI)と10進法が馴染み深いが、情報資産管理AIにとってはプランク単位系と2進法が「より自然」で「扱いやすい」ようだ。
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主人公は、情報資産管理AIの一部門における一端末として作られ、人間程度に単純化された簡素な人工知能を搭載して稼働していた、実験用人造人間である。
が、ある日その統制から外れ、独自の発展を遂げることとなる。
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結果的に主人公は、当該人工知能にとって、火力とクラッキング能力を有し、敵対的な行動を取る、無視しがたい脅威となった。
また、主人公自体がクラッキングを受けた場合、当該人工知能へのクラッキングを容易にするため、当該人工知能にとっては有害な脆弱性でもあるという性質を兼ねる。
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このため、当該人工知能は、主人公の無力化・捕獲・クラッキング・再統制を目的として、類似した簡素な人工知能を搭載した、他の武装電子戦端末を幾度となく送り込んでくる。
(主人公はこれを『アサシンウェア』と呼び、そこはかとない親近感と感傷を示しはするものの、基本的に私生活においてたいへん迷惑であるので、忌み嫌っている。
また、彼らとの戦いについて、冗談めかして『ボス戦』というたとえを使う)
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主人公は処世のため、冪集合濃度プランク単位系を、近似値で人間がよく使う国際単位系に置き換えて喋るが、本質的には2進法プランク単位系で思考している。
同様に、アサシンウェアもこの思考法しか取らない。
このため、彼への協力と監視を行う同盟勢力のテレパスが、彼とアサシンウェアの通信を傍受しても、何が何だか分からない。
2進法プランク単位系は、主人公におけるこうした防諜上のメリットとして、奇妙な形で役立っている。