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随筆(2021/12/6):「反抗期の子供を社会に送り出せるような養育者と同等の立ち振る舞い」という、色恋沙汰における呪われた賢者の石の話(1_9-1-11)(約束、約束を守る、失敗したら謝る、許す、お互いがお互いのためにする)

1_9.約束、そして、約束を守る

1_9_1.お願いを聞くのは「しなくてよいのをわざわざやっている」が、約束を守るのは「一旦約束したら、しなければならない」

前回はこういうロードマップの話をしたのでした。

実際の両想いの恋愛関係
→お願いをする
→そのためにニーズや地雷のルールブックを編纂して開示して随時改訂する
→応答責任を持つ
→お願いを聞く
→感謝する
→恩義を感じる
→謝辞を表す
→返礼をする
→返礼を受け取る

***

さて、「お願い」「ルールブックの開示」「応答責任」「お願いを聞く」という営みの次に可能になってくるフェーズがあります。

「約束」です。

「あれをして」「いいよー」というのは、一方的に出来ます。
逆に言えば、向こうから一方的に「やっぱり、やめた」と言われても、しゃーないところです。

そりゃそうだ。そんなお願いはされてても、そんな約束はしてないんだから。
「お願いを聞く」行為は、ほぼ自動的に
「しなくてよいのをわざわざやっている」
という姿勢にならざるをえないし、これは世間的にもそうであろう。

が、「約束を守る」行為は、
「一旦約束したら、しなければならない」
という姿勢が伴う。こちらも世間的にはそうであろう。

というか、お願いをして、相手に投げ出されない方が、円滑に行く状況は多々ある。そういう事態がしばしば要請されている。
だからこそ、ある手順を踏んだ「お願い」は、「守る」義務を帯びたものとして扱おう。これを「約束」と呼ぼう。という世間の動きがある訳だ。
そういう訳で、「約束」を受け入れたら、「守る」義務がある。

1_9_2.約束を守るのには、「お願いを聞く時以上に、信頼が猛烈に形成される」メリットがある

もちろんこれには、守る側にもメリットがなければ、そのうち放棄される。維持できない。

たいてい、一番大きなメリットは、「お願いを聞く時以上に、信頼が猛烈に形成されること」にあります。

逆に言えば、守る側のメリットを維持できない場合、そもそも
「約束して」
と頼まれた時点で
「やだ」
と突っぱねるのが当然の態度になる。

そりゃそうだ。守ると労力コストを持ち出すだけであり、つまりは酷い目に遭う訳だし、
「酷い目に遭え。やくめでしょ」
と言われても、
「は? ナメんな」
という話にしかならないんだよなあ。

だから、約束を迫る側も、守る側のメリットは、ちゃんとあるようにした方がいいですね。

1_9_3.「いいから約束を飲め。そして守れ」という、盗人猛々しい態度で約束を迫るな。そんなもん、守る守らない以前に、結びたくないんだよな

お願いの時は
「やっぱり、やめた。特に約束もしてないし」
をされても文句は言えない。
だから、約束の時には、つい
「いったん約束した以上は、やってくれて当然」
と思うようになるだろう。

これは、強く避けて下さい。
こんなもんで得られる信頼なんて、「馬車馬としての信頼」でしかないんだよな。「対等な人間相手の信頼」ではないですね。

いったん約束したことは「やってくれて当然」ですが、そんな約束をそもそも受け入れることは、守る側のメリットという前提が期待できなければ、やる気になれない。
つまり、約束を受け入れるまでのプロセスは、別に「当然じゃありません」。

「いいから約束を飲め。そして守れ」
というのは、一方的な要請をそうでないかのように見せかけて誤魔化しているだけなのであって、相互的な約束ではありません。

それは、やらないで下さい。

こんなことをする人、要請と約束の区別がついていないやつとして、メチャクチャ警戒されます。
また、それが要請でしかない以上、
「やっぱり、やめた」
をされることは避けられない。

何なら、
「こいつは約束と要請の区別もつかないから、全ての約束は要望と区別できないし、だから何一つ守る義務がない」
となります。
ひでえ!
だが、区別がつかないと判断されると、この逆ネジはふつうにカマされるものです。

しかもこれは
理不尽ミラーリングで返しているだけである。
これがあほに見えるのなら、そもそも言い出しっぺの先方があほではなかろうか。以外の感情がない」
という正当化を、ほぼ必然的に伴います。

これを否定するのは容易ではない。
私のは正当で、お前のは違う。分からんのか。
分かるように説明するのにはコストがかかり、私は説明のコストを割きたくないが、自分で勉強して説得されろ
という話を、みっともなくもやっていまう人がいる。
が、これでは仲間内ならともかく、その他の誰にも伝わる訳がない(当たり前だ)し、
「言うことが信頼ならないので聞く謂れもないレベルの不誠実なあほ」
という扱いはほぼ避けられなくなります。
つまり? その後何を言っても、何をお願いしようとも、それは聞かれなくなる。
これを覆すためには、信じられないほど大変な労力を要することになるし、何ならそのために十年単位かかる。
気を付けましょう。

1_10.失敗したら謝る、そして許す

1_10_1.失敗したらちゃんと不達成と迷惑について謝る

当たり前ですが、約束を全て守れるとも限りません。
当たり前じゃない、と思っている人、電車とタクシーを駆使して、
「一分後に、二つ隣の市町にいる自分に、直接会いに来い」
みたいな約束を迫れるか、少し考えて下さい。
そういう気持ちになることは、まあ、あることです。ですがこれはふつう無理です。
そもそも、そんな約束なら、聞いてられないんだよなあ…

***

それはそれとして、もっと一般にトラブルとなるケースでは、約束した任務に「失敗する」と、約束は守れなくなります。
こうなると、「達成すべきことが出来なかった」「困ったことが伴ってきて任務が台無しになった」「迷惑がかかった」などのいろいろが生じます。

もちろん、やるべきは一つ。
「「達成すべきことが出来なかった」「困ったことが伴ってきて任務が台無しになった」「迷惑がかかった」。ごめんなさい」
まずはこれを言うことです。
迅速にホウレンソウカクニ(報告・連絡・相談・確認)。仕事でも色恋沙汰でも何でも。
早ければ対処法があり、取り返しがつく。
遅ければ対処法はなくなり、取り返しがつく余地もどんどん減り、メチャクチャ怒られ、許されず、信頼も損なわれる。
早いに越したことはない。

(ほうれん草角煮)

1_10_2.こちらも相手の失敗と謝罪をちゃんと許す。謝罪したら罰が減るようにする。「謝罪した「ら」罰があった」と認識されるようではいけない

さて、相手がホウレンソウカクニをしない場合、いくつかの理由があります。
というか、パッと考えるだけでも二つあります。

***

一つは相手に上記のホウレンソウカクニの発想がないこと(これは多々あります。そもそも職場で叩き込まれないと身に付かないケースがかなりある)。
これは「ホウレンソウカクニをしてくれ」とずーっと言うことで改善を要求するしかありません。

***

もう一つは、「ホウレンソウカクニをすると罰がある」場合です。
そりゃあホウレンソウカクニなんかしないに決まってる。

自分と相手のいる場で、そういうことに、なっていませんか?
つまり、
「失敗した時のホウレンソウカクニは、しかも早いものは、失敗した時のペナルティを大幅に軽減させる効果がある」
という体制を取っていて明示しているか、そうでないか、ということです。

そうでないなら、当然ながら、「任務と失敗とホウレンソウカクニと罰は一体である」という認識しかもたらされないでしょう。

任務は降って湧いて来るもので、失敗は起きてしまうものです。
ですが、ホウレンソウカクニはあえてやることです。
だから、これをしたくないなら、それはされなくなる行為なんですよね。

じゃあ、したくなくなる動機を、増やしてはいけません。
ちゃんと上記の体制を取って、明示しましょう。

後で発覚して取り返しがつかなくて、ギャー、とか、とんでもないデメリットですよ。メチャクチャイヤじゃないですか。
避けられる仕組みが取れるなら、取っておきましょう。

***

あと、特にカクニ(確認)がそうですが、
「何でこいつこんなことも分かってないのか。クソが。バカが」
という攻撃的侮辱的な態度を取らないように、真剣に気を付けた方がいいですね。

これをするやつを前に、カクニがされる可能性は、当然低いでしょう。
じゃあ、カクニはされない。確認せずに間違ったことをやる。ということがどんどん増える。
いつか、それは失敗の塊として、ドカーンと炸裂する。
カクニしない方もそうですが、されない方も損をする。
そういう種、撒いちゃダメですよ。

1_10_3.人の忍耐にも限度はあろうが、それでも、「絶対に許さない」ということは、「人間関係の風通しを塞ぎ、人間関係をやってられなくする」ことと同義だということは、せめて心得る

もちろん、人の忍耐にも限度があります。
失敗に関わるホウレンソウカクニがたくさん上がってくると、まあ心穏やかではないでしょう。
冷静も欠いて来ることでしょう。

説明してもらうなら、冷静を欠かないようにはしなければならない。
『風の大地』のこのコマは、下らない八百長試合における己の婚約者の拉致に関することだから、冷静を欠くのは当たり前だが…)

とはいえ、試行錯誤したら失敗があるのは当たり前です。
そこでの多少の損害も、あることです。
これはそういう、リスクであり、コストです。


そもそも、ホウレンソウカクニをされる失敗は、取り返しがつくから、まだマシです。
報告されなくて取り返しがつかなかった時が、一番困るのです。

だからこそ、ホウレンソウカクニが必要なのです。

***

だから、ホウレンソウカクニの中には、「絶対に許さない」という気持ちになるものもあるでしょうが、そこは一呼吸おいてほしいのです。
特に、それが「こちらの上記の努力にもかかわらず、ホウレンソウカクニすべきことをダマテンしていた」場合は。
メチャクチャムゴイことを言いますと、それは端的に、「こちらの上記の努力が不足していた」ということに他なりません。
だって、相手は「これを言った「ら」罰がある」と思ったから言わなかったのです。
「これを言った「ら」罰がある」と思われてる時点で、仕組み、ここぞというところで、ちゃんと機能しとらんやんけ。

***

「絶対に許さない」
ということを予想させてしまった時点で、誠実なホウレンソウカクニが成り立たなくなることは、かなりある話です。
罰があるんだからね。しょうがないね。

で、そんなんで、人間関係の風通し、良いと思うか?
「仕事なら耐えるしかない」
という話はあるが、色恋沙汰を好き好んで「でない」、耐えねばならない形で、あんまりやりたくはないでしょう。
ホウレンソウカクニのコミュニケーションの風通しが悪い
と、そりゃあやり続けたくなくなってきますよ。
仕事や家庭などの「場から与えられた強めの義務感」を伴う人間関係ならともかく、そうでない色恋沙汰などの人間関係は、風通しを塞いだら、いずれやってられなくなります。そういうことをしないようにしましょう。
そんなことをしておいて、相手に愛想を尽かされて、
「人間関係から抜けようとするだと!? 絶対に許さない!!」
などと、バカなことを言わないようにしましょう。

1_10_4.そもそも自分だって必ずやお目こぼしされているのだ

正直、あんまり聞きたくない話でしょうが、そもそも自分だって必ずやお目こぼしされている訳です。
やらかし、たくさんあるでしょう。それで周囲に迷惑がかかったことも。
そこで、「いやゴメン! 申し訳ない!」とテキパキ謝れて、その後取り返しを試みて、最終的に放逐されずに今に至るなら、それは周囲にお目溢しされたということです。
有難いですよね。
自分も周囲に是非これをやっていきましょう。


***

謝っていないなら、メチャクチャ恨まれているか、何の信頼もないので、そこは本当に気を付けましょう。
しばらくちゃんと謝るようにした方がいいですよ。
周囲は
「うわぁ! 人倫を解さない獣が、人語を語った!?」
くらいの怪訝な顔をするでしょうが、それは、続けて下さい。
いつか信頼を構築できることでしょう。

***

もちろん、許したくないなら、許さなくていいんですよ。
ただし、「上の話は要らない」時に限り、です。
上の話まで同時に兼ねようとしちゃいけない。

1_11.お互いがお互いのためにする

1_11_1.やはり、片務的だと、お願いを聞く側や約束を守る側のニーズは無視されて、不平不満も生じて、長続きしない

お願いや約束や(方向は逆になるが)謝罪をしたりするのは、基本的には聞く側や守る側や(方向は逆になるが)許す側の片務的な努力によるものです。

で、これで一方的にお願いや約束や謝罪を果てしなくやってると、またしても関係はどんどん悪くなっていきます。
そりゃそうだ。
聞く側や守る側や許す側にも大小のニーズがあり、少なくとも小のニーズくらいは聞いてほしいでしょう。
で、自分がやるだけで、してもらってないんだから。
ここである日、聞く側や守る側の中に、不平不満が出てきたら、その関係はもうだいぶ危うい。

1_11_2.お互いがお互いのためにしましょう。相手の幸せな顔を見たり、自分も幸せになったりましょう。せっかく付き合っているのだから、「二人して幸せになろう」

だから、ずっとお願いを聞いてもらったり、約束を守ってもらったりしているなら、一度訊いてみて下さい。
「いつもしてもらっているけど、何かしてほしいこととかないかな。今やれそうなことならやってみるよ」
こうすると、意外なニーズが聞けるかもしれません。
正直な意見はたいへん重要です。それが言えるか言えないかで、「コミュニケーション上の風通し」「人間関係を引き続きやってられる度」は全然違うんだから。
そして、やれるなら、やっていきましょう。

***

相手が余程強く深い不平不満を抱いていたら、
「うわぁ! 人倫を解さない獣が、人語を語った!?」
くらいの怪訝な顔をされることもあり、グサグサ傷つくでしょうが、それは、ちゃんとやってあげて下さい。
いつか信頼を構築できることでしょう。

もちろん、約束に失敗した、聞く側や守る側相手に、「絶対に許さない」とキレ散らかしていたら、正直に言う「と」デメリットがある訳で、風通しなんか良い訳がないですし、聞く側や守る側信頼なんかある訳がありません。
そういう状況下での信頼の構築には、えらい時間がかかります。
ここは、改善しない限り、何度でもこうなる。気を付けましょう。

***
「謝罪」「許す」ということには、奇妙なメリットがあります。
お願いや約束を「された」側が失敗すると謝罪を「する」ので、この時だけは方向が逆になるのです。

人によっては、ここで
「してもらってばかりだが、今、している。
逆に、してばかりだが、今、してもらっている。
つまり、お互い様なのだ」
ということに気付かされることがあります。

その気付き、メチャクチャ大事です。
お互い様の人間関係が出来る。
これは、人間関係の、大きな進展でしょう。

***

お互いがお互いのためにする。
いつかはここをやっていきましょう。

1_11_3.いつかは「相手のしてくれたことに、質や量が見合うように、気を遣う」ということを意識せずにはいられない。つまり、公正取引の話になる

そして、そうするうちにいつか、「相手のしてくれたことに、質や量が見合うように、気を遣う」ということを、意識するようになってきます。

まあ、最初の内はなかなか出来ないんだ。相手のやってくれたことが大きすぎて、何やっても見合わないような気になって、何なら相手のやってくれたことが重荷になることが、ある。
でも、少しでも見合うことを積み重ねればよいのです。
それで相手にはちゃんと少しずつ
「おお、ひょっとして、報われているのか? うわー、嬉しいじゃん」
という気持ちが芽生えてくるでしょう。
(ただし、芽生えるように努力はしなければなりません。
相手が評価するポイントをちゃんと見て、そこで見合うことを積み重ねた方がいいでしょう

そういうことで、いつかは、公正取引に、たどり着かねばなりません。

こういうロードマップになります。

実際の両想いの恋愛関係
→お願いをする
→そのためにニーズや地雷のルールブックを編纂して開示して随時改訂する
→応答責任を持つ
→お願いを聞く
→感謝する
→恩義を感じる
→謝辞を表す
→返礼をする
→返礼を受け取る
→約束をする
→約束を守る
→約束を守ってくれたことを大いに評価する
→約束に失敗したらちゃんと不達成と迷惑について謝る
→失敗と謝罪をちゃんと許す
→お互いがお互いのためにする
→公正取引

(続く)


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