随筆(2021/9/16):「親しき仲にも礼儀あり」と、敬意の「こなれ感」と、何事も場と相手を見てやらないと空振りする、ということ
1.ファッション用語としての「こなれ感」「抜け感」「ハズし」
今回出てくる「こなれ感」とか「抜け感」とか「外し」とかは、ここから持ってきた概念です。
https://mens.tasclap.jp/a2292
Q4.こなれ感とは?
こなれ感=こなれた感じ(感覚)を表す。知識、技術などがすっかり身について運用自在になるとの意味から、まるで何年も着続けているかのようにアイテムを着こなし、それが似合っているように感じられること。「こなれ感が出ている」とは、まさにそういった人たちに向けた言葉だ。個々が放つ雰囲気次第との見方もあるが、味わいのあるジャケットやデニムを身につけることでこなれ感を演出することもできる。
Q5.抜け感を出すとは?
かっちりめなスーツにシャツやタイで柄を指してみる、またはシックなネイビーできれいめなスタイルを演じながら裾をロールアップさせるなど。品行方正な佇まいの中にちょっとした遊びを取り入れることで、コーデが新鮮に見えたり、おしゃれに見えたりする。その“ちょっとした遊び”を総じて抜け感と呼ぶ。この有無が大人としての余裕を暗に周囲へ伝え、おしゃれへとつながっていく。
Q6.コーデをハズすって?
「抜け感」とも一部内容が似てくるが、ある意味おしゃれを楽しむための一つの手法といえるだろう。セットアップでしっかりとした着こなしをしているように見えて、実はボトムがスラックスではなくイージーパンツだったり、全体をモードっぽく仕上げつつも、インナーにボーダー柄を挿して表情を和らげたりと、正統派から適度に外れた着こなしをすることで自らの個性をさり気なくアピールすることができる。
2.これらを、ファッションのみならず、振る舞いのレベルにまで一般化してみる
私のこの記事では、ファッションのみならず、もうちょっと一般化したニュアンスで使っています。
余裕とかと関係のない四角四面ではなく、余裕があって初めて可能な「こうしてみるのも面白いのでは」を、振る舞いとしてやっていく。そんなニュアンスです。
(逆に、これは余裕が出来て「こうしてみるのも面白いのでは」と思わないと、本人の面白感性の欠片もないやつになるから、これを「狙う」のは本末転倒であろう)
3.「親しき仲にも礼儀あり」と、敬意の「こなれ感」
で。
これを人間関係にあてはめてみると、ふと、あることに気付いたんですね。
親しくなるとタメ口をきいたりして、無礼になってしまうものです。
これを憂いた昔の人は、「親しき仲にも礼儀あり」という警句を遺したのです。
が、個人的には、ここでふと「ひょっとして、そう単純な話ではないのではないか?」と思ったんですよ。
要するに、親しき仲の「無礼」に見えるものは、ファッション風に言うと、敬意の「こなれ感」なのかもしれない。という気づきが降りてきたんですよ。
距離感が近いと、こなれてくるから、「こなれ感」が出て、うまい「抜け感」や「ハズし」という上級者向けの動きが出来る(しその方がしっくりくる)、という。
…割と最悪の気づきなのでは? (こいつ…)
4.何事も相手を見てやらねばならない。前提の成り立ってない公理系を振り回したらダメ
なお、これを主張するなら、目の前の相手との敬意の関係がこなれてない時点で、敬意の「こなれ感」を前面に押し出したら、基本ダメなんだよな。
前提が成り立ってないとまともな効き目がないことをやってんだから、裏目に出ても何もおかしくはない。
というか、おかしいと思う方がおかしい。
これで
「敬意のこなれ感、抜け感、外しが、なぜ通用しない?」
とか
「それは、あいつのノリが悪く、あいつにノリのセンスがねーからなんだよな」
とかやらないでほしいのだよな。
前提が成り立ってないから通用しないことをやったら、そりゃやるやつがマヌケなんだ。
相手をちゃんと見てちゃんとやろうぜ。
***
前提の成り立ってない公理系を振り回したら、それは「作法が出来ている」というより、まずは「ダメなムーブ」です。
「作法」のことを言うなら、それはその「場」に依存する概念であり、「郷に入れば郷に従え」が基本正しい。
分かってない人に、知らないムーブをカマしてマウントしちゃダメだって。その時点でメチャクチャ品性を疑われるよ。
***
(「そんなの関係ねぇ。やりたいようにやる。何人にも妨げられない」というのは、それも一つのスタイルです。
ただし、それは基本的に作法ではなく、「我が道を往く」スタイルというやつですね。
当然無作法であり、「我が道を往く上で、他の人は二の次でしかない」という疑いようのないメッセージであるので、実際にはやることなすこと妨げられる。
そりゃあ、そうでしょうね、としか言えないんだよな…)
5.でも、やっちゃうんだよな。それはそういうものなのかも
で、かく言う自分が、
「打ち解けた相手に、気安くなってないか、タメ口きいてないか」
というと、省みた限りでは、それは確実にやってるんですよね。(oh...)
「うわっ」と思わなくはないですが、繰り返すとこれも「こなれ感」「抜け感」「ハズし」なのかもしれません。じゃあ、一概に悪いとも言い難くなっている。
ポイントは、やはり、「ここで、この状態においては、こうした方が「場」に受け入れやすいか」ということに尽きるのだと思います。
まあ、いきなりは無理です。何事もそうですが、よく場と相手を見ましょう。そして、慣れてからやった方が良さそうなことは、慣れてからにしましょう。
そんな感じですね。
(いじょうです)
(画像はニュー・ロマンティック・バンド“VISAGE“のアルバム“SHAMELESS FASHION“)