随筆(2020/2/7):返礼をするか、返礼が出来ないと伝えるか、どっちかにしましょう。ダマテンして受け取るな
人から何かを受け取って、返礼を保留する人がいる。
もちろん、返礼合戦がその人(たち)の資力を食い潰すみたいなことは、得てしてあるやつだから、安易に返礼が出来ない事情はよく分かる。
だが、「返礼を保留する」ことには、コストを下げる効果はあるかもしれないが、脅威を上げる効果がある。
それはそうでしょう。そういう、「盗人猛々しい」人、外形的にはある種の「盗人」に他ならないんだから。
報復する動機も、シメる動機も、そりゃあとても強くなる。
おそらくは力ずくで倍返しさせられるだろう。力ずくなんだから、こんなもん脅威に決まってる。
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「盗人だからって脅威にさらされる謂れはない!」と言いたくもなる人、ひょっとしたらいるかも知れない。というか、目に浮かぶようだ。
だが、まあ、「盗人が民衆を脅かしたり、警察力を持つ豪族や、警察力を勝手に振るう民兵に脅かされたりしない、平和な時代で良かったですねえ」という感情しかない。
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いや、本当にそうよ?
他人の財をガメておいて、
「これは自分のものであり、今まで文句言わなかったんだから、こんなもん当たり前だという話にしかならないではないか。
今更何都合の良いこと言ってやがる。そういうコロコロ変わる恣意的で不誠実な話、聞く謂れがない。
ということで、何を言おうが、これは自分のものだ。そうでないという話は聞けないね」
と言い出す人、世の中にもちろんものすごくたくさんいるのよ。
知ってるよ。
何なら、その思考回路、分かるよ。
で、そこでビビったり面倒に思ったりして、引き下がる人もたくさんいる。
そして、そういうのに付け込んで大きくなる盗人、世の中にもちろんものすごくたくさんいるのよ。
そういうのを放っとくと、そのうち誰も逆らえないようになる。
んで、後になって、皆猛烈に不満に思う訳だ。
しかも、本人だけがそれを認識しない。
というか、さっきの話があるから、今の在り方が当然だと思っている。
今更不満に思われても、「話がコロコロ変わる」「恣意的で不誠実な奴らが何か欺瞞的なこと言ってんな」という軽蔑の籠った反感しか生じない。
説得? 通じる訳がない。
反省? する訳がない。
こういう成り行きを、何らかの理由で聞き及んでいる人は、ガメる盗人をノー会話で秒殺する。一切の言い訳は効かない。
そりゃそうよ。盗人が肥え太って権力者になって永遠に盗み続ける脅威を前にして、「さっさと〇そう」と思う人と、思わない人、前者の方がはるかに生存性が高いに決まってるじゃないですか。
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だから、自分が「盗人」になっていないか、それは他人の狼狽に付け込んで吐き出された利益や徴税権ではないか、そこは本当に気を付けた方がいいですよ。
もし、その気配を感じたなら、そしてそこに対する他人の不満を感じたのなら、その安全な安定した地位は、実際には極めて危うい。
周囲にとっては、報復する動機も、シメる動機も、完全に「ある」と見た方がいい。
生活に支障を来さないのならば、
「私のやってることは、返礼をしないズルだ。返礼が出来ないから、最初から受け取れない」
と示すか、
「返礼します」
と示すか、いずれかした方がいいですよ。
生活に支障を来しているのなら、また話は別なんだけど、生活を可能にしてくれている相手には、まずはせめてちゃんと感謝を示した方がいいですよ。
それは返礼として一定の価値がある。ちゃんとそれで決済出来る性質のものであるならば、ちゃんとそうやって決済しましょう。
「心から有難い」と思うのならば、それはかなりやりやすいことでしょう。
そうではなく、心から有難くはないのなら、「申し訳ないが有難くはない」と示して、そしてそんなものはもらわなければいいのだ。
「有難くない」「相対的に要らない」ものを、相手にコストを割かせて提供させて、自分が受け取るの、かなり最悪だと言える。
まして、相手が提供しなくなると
「こいつ自分を軽く扱い始めた。許せん」
とか言い出すの、メチャクチャヤバイ。死の一歩手前にいると言える。
「こいつ自分を餌としか思ってないな。そのうちのさばって、自分の人生にヒルみたいにくっついて、自分を吸い〇すだろう。その前にさっさと〇そう。
『許せん』? おう、のさばった口を利いてやがんな。やっぱり放っとくとヒルになるパターンだなコイツ。よし! 今のうちに〇そう!」
と逆に思われても、正味の話、何一つしょうがないのではないでしょうか。
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「くれるもののうち、要るものは要る。有難く受け取っています。有難うございます」
「くれるもののうち、要らないものは要らない。それはもう無理にくれないでいい。無理をさせてきたことは申し訳なく思う」
この二つは非常に大事な話です。
特に後者が言えないから後で地獄を顕現させる人、たくさんいる。
そこは、気を付けて、ちゃんと示しましょうね。
(いじょうです)