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声がする

頭の中に十字架がたっている。あれは座標か墓標か、まだわからない。懺悔のような声だけはよく聞こえる。お母さんごめんなさい。

とうきょう、おはよう。さようなら。つらいからさよならするわ。彼の顔が最近よく思い出される。

またここは海沿いの街。彼女が懺悔している。彼や母に向かって必死に頭を下げている。

約束はついに果たされなかった。それでもいいと笑っていた遠い過去だった。現在はとっくに消えている。ご飯を食べずに肥えていく。料理だけは毎日つくる。

工事中の交差点、あの下で地下鉄が交わる。線路に立つ連続したわたし。まっすぐにどちらか向いて連なる。とうきょうから海沿いの街へ弓がしなるように鳴いている。頭から花のように十字架が咲いている。過去の家は鍵なんてとうに消えたのに、胸の中で建築をはじめる。

春が訪れる。山のてっぺんで空気が交換される。腐れ縁のような病気を抱えるあなたに、彼の懺悔をしたって意味がないよ。彼も彼女も捨てて、あなたとわたしはここにいる。

#詩 #現代詩

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