こんなに天気がいいのに

こんなに天気がいいのに
真っ白な部屋で母の話をして
蓋をした記憶を恐る恐る
覗き込んでいる
横には知らない女性の笑顔が
大丈夫だよと
優しく撫でる

言葉を手放すことは
とても大事なことだと
身体にアトピーがでても
それすらいいことだと
言い切れる
素晴らしさ
があった
晴れていたから

あんな風に巡り合った
増えるものは増えるけど
悪いことじゃないと
言い切れる
素晴らしさ
があった
晴れているし

こんなに天気がいいから
悩むことなんてひとつも
ない
かもしれない

砂漠のような不安の中に
境界線すら引けず
曖昧にすることも出来ず
あなたはひとつの林檎を
しゃり
と食べる

わたしの抱える不安とさみしさや
あなたの抱える不安とさみしさも
林檎の中に
少しだけ詰め込んで
しゃり
と食べる
すると
少しだけ良くなった気がして
笑えるような
気もしてくる
こんなに天気がいい、
から

#詩