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娘が保育園を卒園した話

昨日。娘が保育園生活を終えた。約4年半。それは、長いようで、あっという間だった。


私は母であり、父である。事情があって元夫と一緒に暮らせなくなった。だから、1歳になるかならないか位の頃から、家族の力を借りながら、殆ど一人で育ててきた。


離婚が成立してから「この子を守り、育んでいけるのは私だけ」その思いだけで、朝早くから遅くまで働いてきた。




寂しい思いも沢山させてきただろう。どうしてママは帰って来るのが遅いの?と聞かれたこともある。友達にパパのお迎えが来た時、それを何も言わずにじーっと見つめている姿を目の当たりにしたこともある。


「あのまま一緒に生活していれば、寂しい気持ちも、不自由もさせなかったかも知れない」
どれだけ悩み、何度眠れぬ夜を過ごしたことか。


だけど、その度に「人からは「一人親で可哀想」なんて言われるかも知れないけど、娘に対して恥ずかしいことなんてしていない」そう思ってやってきた。やらずにはいられなかった。


別に過去の自分を正当化するつもりもないし、言い訳するつもりもない。娘に対して、私が不甲斐ないばかりにと、申し訳ないと思う気持ちもあるし、日に日に成長する姿を間近で見られずに後悔もしている。その分、愛情はたっぷりと注いできたし、これからもそれは変わらない。


甘やかしてばかりいる訳ではないが、抱っこをせがまれたら家事を一旦止めて抱っこをするし、眠る前には一遊びして絵本を読み、手を握って眠る。そして赤ちゃんの頃と同じ寝顔を眺める。そんな毎日。



朝、保育園に預けた時。離れ難くて、いつまでも「ママー、ママー」と呼ぶ声と、たまに見せる涙。隠れてこっそり見ていると、すぐに涙は引っ込んで、友達と仲良く遊んでいる後ろ姿が目に入る。何よ、あんなにママって言ってたのに。なんて、少し寂しさを覚えた。


夜、お迎えに行った時。「ママー!!!」と大きな声を出しながら満面の笑みを浮かべ駆け寄ってくる姿。だけどすぐに「もっと遊びたかったのに!」と怒る。かと思えば、手を繋いで帰る途中に「もっと早くお迎えに来てよー」なんて言う。どっちよ、もう。



保育園の先生に「一人親だから寂しい思いをさせていて、その分問題行動とか起こしていないか心配。家でもあんまり我儘も言わないし、我慢させているのかも知れない」みたいな話をしたことがある。
その時に「普段の様子を見ていても、そういったことはないし、娘ちゃんは周りを気遣える素敵な子。お母さんが娘ちゃんのことを大事にして、しっかり育てているのが分かるから、お母さんは安心していい」とか言われた時、ほっとした。その晩、娘が寝てから布団を被って静かに泣いた。



公園で運動会の練習をしたこと。親子競技で1番になったこと。七夕の短冊を笑いながら一緒に書いたこと。夏祭りの浴衣を一緒に選んだこと。その丈を詰めたこと、伸ばしたこと。食育活動のエプロンと三角巾を徹夜で縫ったこと。遠足で「美味しいね」と言いながら、二人でお弁当を食べたこと。クリスマスのリース作りを二人で頑張ったこと。発表会のビデオを一緒に見たこと。ゲラゲラ笑いながら、お昼寝のシーツ交換を一緒にやったこと。親子参観で、保育園での普段の姿を見たこと。


それらの沢山の思い出たちが、今でも鮮明に浮かんでくる。


あんなに小さかったのに、出来なかったことも出来るようになり、あっという間にお姉さんになった。友達におもちゃも貸せるようになったし、自分より小さい子にも優しく出来る。絵本だって上手に読めるし、名前だって書けるようになった。私が疲れて寝ていると、毛布を出してきて、そっと掛けてくれる。



卒園式に貰った手紙には、書けるようになったばかりの平仮名で、娘からの精一杯のありがとうが綴られていた。


「いつもおいしいごはんをありがとう。おくりむかえをしてくれてありがとう。おしごとがんばってくれてありがとう。いつもあそんでくれてありがとう。えほんをよんでくれてありがとう。ままだいすき。」


そんな感じのことが書いてあった。


私はその手紙を目にしただけで泣く。今までのあれこれを思い出しただけで泣く。ママの方こそありがとうだよ。そして、あなたが思っている以上に、ママはあなたのことが大好きだよ。


来週から小学生になる。ここまでがあっという間だったから、きっと6年間もあっという間だろう。娘にはこのまま、優しく健やかに育って欲しいし、そう育てていく。


この子にとって、佳いことがずっと続きますように。


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