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下半期の採用に向けて〜採用計画における8つの見直し項目〜

3月決算の企業であれば、今期は残すところあと7カ月。事業計画を途中で変更せざるを得なくなった、なかなか採用できず採用目標を見直ざるをえなくなった、といった状況に陥っているケースも少なくないはずです。
 
ほとんどの場合、採用は年間計画通りには進みません。
 
経営企画部や財務部などは、当たり前のように、月間、四半期、半期ごとに振り返り、予実を比較しながら予算計画を見直していきますが、採用についてはどうでしょうか。目の前の業務に追われるあまり、しっかり振り返りを行えていないケースも多いのではないでしょうか。
 
事業環境の変化やIT技術の進化などにより、事業スピードが求められ、企業が新卒採用から中途採用へシフトしていく中、求人ニーズも目まぐるしく変化している企業が増えています。それゆえ事業計画を達成するためには、半期での採用計画の振り返りが非常に肝になってきます。
 
具体的に、どういう項目を押さえて振り返ればいいのか。今回は半期の振り返りのポイントを解説いたします。

執筆者プロフィール

InterRace株式会社VPoS(Vice President of Solutions)
木津和 弘祐

2007年リクルート入社。新卒・中途向けメディア、人材斡旋、RPO事業、事業開発に従事し、マネジメント(課長・部長)、プロフェッショナル職を経験。RPO事業を立ち上げ期より参画し、HR領域の戦略フェーズから母集団形成、選考オペレーションまでのプロジェクトマネジメント、プロジェクトリーダー、コンサルティングを経験。世の中に存在するHRサービスに広い知見と人脈を持つ。2022年にInterRace株式会社に参画。株式会社KITSUWAの代表取締役としても活動。


押さえるべき8項目とは

 
下半期の採用において振り返るべきは、次の8つの項目です。
 
1.採用計画の見直し
2.予算の見直し
3.求人のスキルセットの見直し
4.採用リソースの調整
5.採用プロセスの最適化
6.面接官の最適化
7.市場動向への対応
8.採用ブランディングの見直し
 
では、一つずつチェックしていきましょう。

1.採用計画の見直し

当初立てた事業計画に対して、現在どういう状況なのか。そして、残りの半期を、どのような戦略・戦術で取り組むのか。人事部は状況を把握するために、経営側や事業部側に確認しましょう。
 
戦略が変わると、おのずと要員計画も変わってきます。業種によっては、大型案件が入ってきたり、思ったよりも案件がショートしたりと、潮目が変わっていることがよくあります。
  
併せて、年間採用計画を振り返りましょう。期初には、これまでの離職率を加味して計画が立てられることが多いですが、半年経つと、想定以上に以上に退職者が出ていたり、反対にほとんど辞めていないということもあります。この辺りの変動を現場から情報を収集して、採用数をさらに増やすのか、今のまま維持するのかなどを判断する、良いタイミングだと思います。

また、大手企業の場合は、個人の希望による配置転換も年々増えており、人事部が把握していない部署やポジションに人が必要になることも発生しています。さらに、優先度の高いポジションの場合は、内部からの昇進や部署異動で調整することも考えられます。その場合は、玉突きで当初とは違うポジションで求人を要請されることもあります。
 
どの部署で、どれだけの人を取らなければならないのか。取りこぼしのないように、上半期にできていることと、できていないことを見直しておきましょう。

2.予算の見直し


次はチャネル別、ポジション別の予算を見直します。チャネルでいえば、「思った以上に人材紹介経由で採用が決まった」「媒体では想定よりも応募が少なく、採用できなかった」など、想定外の出来事が起きやすいので、チャネル別で細かく確認しましょう。特に、人材紹介(エージェント)のような成果報酬モデルだと、想定以上に費用がかかってしまっているケースも多くあります。その場合、下半期はどういう打ち手をとるのか。このまま効果が担保できるなら、効果の出ていないチャネルの予算を充当するのか。場合によっては、追加予算を取りに行くことも考えられます。
 
またポジション別の振り返りもしましょう。半期やってみると、採りやすいポジションや、採りにくいポジションが明確になってきます。例えば、採りやすいポジションの予算を削減して、その分難易度の高いポジションに割り当てるなど、予算の組み替えなども検討してみましょう。

3.求人のスキルセットの見直し


この項目には、「採れているポジション」と「採れていないポジション」での2つの見直すべきスキルセットがあり、実はどちらもとても重要で外せません。しかし、実情は、この振り返りができていない人事部が非常に多いように思います。
 
「採れているポジション」に関しては、採用した年齢層や経験によって、求人ニーズが変わっている場合があるので、必ず現場に確認しましょう。
 
例えば、最初現場からは「メンバー10名と、マネージャー2名を採用したい。その際組織としては、メンバー5名に対して、マネージャー1名という体制を考えている」というオーダーをもらったとします。しかし、採用難易度の低いメンバーだけを採り続けても、組織としては機能しません。なぜなら、メンバーを育成していくマネージャーがいなければ、入社者は待機コストになってしまうからです。
 
そのため、入社してきた社員のキャリアなどを考慮しながら、事業部側の配置や、フォーメーションに照らし合わせて、求人票のチューニングを行わなければなりません。
 
一方「採れていないポジション」に関しては、求人の「MUST(必須条件)」と「WANT(歓迎条件)」を見直し、「MUST」だけに絞ってスキルセットを緩和するなどの調整が必要です。

また、エンジニアなどの高い職種理解やマーケット理解が求められる職種では、採用の知見や相場観を持つエージェントや、プロのリクルーターを巻き込んで、彼らと一緒に現場の人たちにヒアリングをして、より効果的な求人要件を整えていくことも、時には必要です。

4.採用リソースの調整

人事採用(リクルーター)の担当業務や役割を入れ替えるなどして、より効率的な組織体制に見直すことも、下半期を効率的に戦っていく上では大切です。

例えば、部門ごとにリクルーターがいる組織では、「A部署の採用は好調だが、B部署は採れていない」ということがたびたび起こります。その場合、好調な部署と不調な部署のリクルーターをスイッチするのも一つの方法です。
 
同じように、チャネル別に採用担当を振り分けている場合も、役割を変えてみたり、好調なチャネルは採用担当者を減らして、別のチャネルに移すなど体制を再整理することで、活性化を図ることができます。

5.採用プロセスの最適化

これまでの採用状況やKPIをみて、異常値があれば、手を打っていきましょう。見落としがちなのが、選考のリードタイムや面接回数の改善です。
 
選考リードタイムは短ければ短いほど、面接回数は少なければ少ないほど、採用率は高まりやすい傾向があります。しかし、その基準を決めることはとても難しいことです。ぜひ、競合他社の情報を持つ人材紹介(エージェント)やスカウト、RPOなどの外部の声を聞くことをお勧めします。HRのプロ人材の力を借りることで、採用プロセスの最適化を図り、採用市場の競合優位性を高めることができます。

6.面接官の最適化

「面接官の質が低い」ことで、応募者の「辞退率」が高まり、面接通過率が下がるなど、採用に悪影響を与えていることがよくあります。反対に面接官の質が高くなればなるほど、「あの人と一緒に働きたい」という声が増え、その結果、入社率も高まります。

複数の管理職が一次・二次面接の面接官を担当する場合は、各面接官の「合格率」や「辞退率」をモニタリングして、ばらつきがないかチェックしましょう。異常値が見つかれば、候補者の声(定性)を収集して、要因を解明し、面接官の質に問題があれば、トレーニングを行ったり、場合によっては面接官の交代も視野に入れ、改善を図っていきましょう。

7.市場動向による対応

採用競合が増えており、昨年は複数名を採用できた職種でも、今では応募にも至らないというケースがよくあります。市場動向を適時に把握しておかなければ、企業としても勝ち残れなくなってきています。代表的なのはIT・DX関連人材です。こうした採用市場における動向は、外部のリクルーターやRPO、人材紹介(エージェント)などが知見や情報を持っているので、日頃から連携をとって、こまめに情報収集して、対応するようにしましょう。
 
その他に、外的要因としてあるのが、経営が悪化している競合他社からの離職者の採用です。「あの企業は優秀な人材が多い」「即戦力として期待できる」という理由で、自社の経営層から採用計画を度外視して、「採用しよう」という要請がかかる場合があります。
 
こうした急な要請には、人事部はマンパワーが不足するおそれがあるのと、従来のチャネルでは採用できない可能性もあるため、リソースの調整や見直しが必須となります。アウトプレースメント(再就職支援サービス)といった新たなチャネルを利用する場合も出てくるので、検討が必要です。

8.採用ブランディングとツールの見直し

最後は、採用ブランディングの振り返りです。選考フェーズに合わせて、候補者に配信している記事のPV数や、候補者の歩留まり率などをチェックして、より採用効果をつなげるための、質の高い情報コンテンツを提供する必要があります。
 
また採用業務が高度化していく中で、効率化を高めていくためには、従来の作業工程などを見直すことも必要不可欠です。。例えば、「データがスムーズに閲覧できない」などで作業工数に時間がかかっていては、候補者に対して、迅速なレスポンスが行えません。予算があれば、新たなATS(採用管理ツール)などの導入を検討するのも良いかと思います。

まとめ

冒頭でも触れましたが、さまざまな企業を見ていると、事業計画の変更や、採用苦戦などにより、1年経たないうちに採用計画が変わってきます。残すところ半年しかない下半期において、もう一段採用精度を高めなければならない時に、どうしても課題になってくるのが、採用におけるケーパビリティとリソースの問題です。
 
新たな異動や採用により人事リソースを追加できたとしても、即戦力になるまでには凡そ3カ月から半年はかかると思います。相場観や幅広いネットワークなどを持つ外部のHRのプロに任せることで、スピード感のある施策がいち早く取り組むことができ、成果へとつなげることができます。
 
InterRaceには、採用市場に深い知見を持つHRプロが多数在籍しており、定期的に(毎週)モニタリングや振り返りを行いながら、企業へ採用ナレッジを引き継ぎ、事業部(現場)と人事部が連携した採用活動が行えるように支援しています。


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