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モフモフでフワフワの子猫たち〜『空飛び猫』〜【2月猫本チャレンジ13】

今日は、『空飛び猫』です。

『空飛び猫』

こちらはチャレンジ11の『猫だましい』のときに紹介した、アーシュラ・ル=グウィンの物語です。

本当になんて可愛らしい猫たちなんでしょう!
でもそれだけではありません。彼らは4匹の兄弟ネコですが、生まれ育った街は犬に車に人、と危険がいっぱい。そこ4匹は飛び立ち、新天地を求める冒険の旅に出ます。

文庫本になっているし、1冊はすごく短いのでファンタジーが好きな方や、もちろん猫好きの方は楽しめること間違いなしです。だって、猫のモフモフの毛にフワフワの羽がふたつ、生えているんですよ。もう手元でなでなでするのにこれ以上のものがあるでしょうか?

全部で4巻の物語ですが、実は1巻目だけ英語でも読んでみました。

挿絵はまったく同じ。英語もかなり平易な言葉が使われているので、多少分からない言葉があっても挿絵と合わせて想像がつく程度のものでしょう。そうですね、ピーターラビットの原作よりも文章は長いですが一文一文は短いので、読みやすいです。簡単な言葉で無駄が削ぎ落とされた感じなのに、テンポがよい。そういう英語だと思いました。だから、英語学習にもよいでしょうね。

私がこの第1巻の『空飛び猫』の中で面白かったのは、空飛ぶ子猫たちを見た森の小鳥たちが「不公平だ!」と怒り狂っているところです。鳥が地面を歩いていれば猫の餌食ですが、彼らには翼があるのだからそう簡単には捕まらない、そういう優位点を持っているのです。ところが、その捕食者の側のジャンプ力以外は地を這う生き物が同じように翼を持ってしまった! やれ、大変だ、不公平だ、許せない! という訳です。空飛び猫たちが小鳥を狙った訳ではないのですよ? でも捕食者が空を飛んで「にやっ」と笑った日には彼らは生きた心地がしないのでしょうね。現実にそんな猫がいたら、鳥たちはパニックになると思います。物語なのにそんなところまで描いている、そして理屈が通っている。そこが興味深いところです。

さらに、空飛び猫より小鳥の方が飛行性能はよいのです。子猫たちは木にぶつかったり、羽が木の枝に引っかかったりするようですが、小鳥たちは旋回したり、速く飛んだりして、じゅうぶん逃げることができるのです。おまけにフクロウは子猫たちを追い回して、プレッシャーをかけます。フクロウの飛行性能は小鳥と比較しても段違いですからね。翼がついたぐらいの猫に比べたらきっと雲泥の差なのでしょう。

そう、空飛び猫はあくまで「翼がついた」猫なんです。本分は猫、翼はおまけ。でもそのおまけがついただけでどれだけ違うことができるでしょう? きっと生まれた街からすると、歩いて移動できるよりもっと遠くへ来ているはずです。「翼がついた猫」という虚構がひとつあるだけで他はかなり現実を反映してもいる。ファンタジーとは、そんな芸術なのだと、つくづく思いました。だから私も大好きなんですけどね。

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