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習い事で上達したいなら〜『風姿花伝』〜【9月実用書チャレンジ1】

今日からまた3週間のチャレンジ、スタートします!
初回は世阿弥で能を取り上げます。
というのも、実は能役者の友人がおりまして、今週末に彼女の講演を久しぶりに見に行くことになっているのです。

芸術にとんと縁のないハズの私ですが、なぜか能の舞台だけはけっこう見たことがあるという不思議……予習を兼ねて未読だった本を読んでおりました。

この本は単に古典として風姿花伝を取り上げているのではなく、世阿弥を稀代のイノベーターとして現代語訳で分かりやすくまとめてある本です。巻末には世阿弥の名言集が解説とともに集められています。

「初心を忘るべからず」
「序破急」
「秘すれば花」

など聞いたことのある名言がたくさん並んでいるのに驚かされます。

書いてあることはあくまで能という芸能を演じるための要点なのに、なんだかだんだん自分のことを言われているような気になってくるのが不思議なところ。学生時代のテニスのことや水泳の競技大会に出た時のことなどが心に浮かびます。スポーツや芸事でなくても、何かを学びたい、習得したいと思ったときに必ず役に立つ知識が満載です。

猿楽と呼ばれていた芸能を芸術の域にまで高めたという世阿弥の革新的思想も見て取れるし、また芸術を保護してくれる時の権力者に対しての配慮はマーケティング的要素も入っています。道を極める、というのはこういうことを言うのだと感心しきりでした。

でもやはり一読した程度では分からないところもありました。第三の問答条々という章の六番目の問いです。この第三の章は、問いに対してそれぞれ答えるという一問一答形式で話が進んで行きます。

ここでは芸の位の判別について問われています。芸の「位」それに生まれ持った格である「たけ(長)」そして、「かさ(嵩)」という言葉が出てきて、理解しようとするのですが、現代語訳の『風姿花伝』を読んでも「だから、どうなの?」という結論がどうにもはっきり見えてこない。

そこで、角川ソフィア文庫の『風姿花伝・三道』の方を読んでみると、「本条は『風姿花伝』中でもっとも難解な一条とされている」とあるではありませんか! どうもまだ世阿弥も考えをまとめる途中だったようで、後に出す『花鏡』などの著書には思考が発展した形が出ているようです。

ちなみにディスカヴァー・トゥエンティワンの『超訳世阿弥 道を極める』の方では『風姿花伝』以外の引用もあり、最初の方は『花鏡』からの引用が多いようです。

もっともこちらもまだ読みきってはいませんが。超訳のこのシリーズは1ページひと言で進んでいくのでキリがよく、今トイレ文庫になっています。

少しは予習になったのでしょうか?
謎は余計深まったような気がしないでもないですね。

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