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やはり最後はこの本で! 〜『読書について』〜【11月読書本チャレンジ20】

今月の締めに持ってきたのは、ショーペンハウアー先生の『読書について』です。

『読書について』

最初からこの本をラストに持ってくる、と決めていました。だってほんの薄い本で、しかも訳者による解説もそこそこの長さがあるというのに、中身は「う〜む……」と考えこむようなことばたくさん書いてあるのです。尊敬の念を込めて「ショーペンハウアー先生」と私はお呼びしております。

内容はもう、今月紹介した読書本の中でも数々の引用があるほど、有名な部分がたくさんあります。私の読んだ光文社古典新訳文庫版では、

自分の頭で考える
著述と文体について
読書について

の三篇が入っているのですが、一番最初のページを開いただけで土下座したい気分になりました。

どんなにたくさんあっても整理されていない蔵書より、ほどよい冊数で、きちんと整理されている蔵書の方が、ずっと役に立つ。同じことが知識についてもいえる。いかに大量にかき集めても、自分の頭で考えずに鵜呑みにした知識より、量はずっと少なくとも、じっくり考え抜いた知識のほうが、はるかに価値がある。

自分の頭で考える

これですよ、これ。
本は一期一会、これはと思う本があったらすぐに買うべし、と書いてある昨今の読書本は多いので、私も「そうよねっ!」とばかりに買うのです。でもそうすると生来の蒐集癖がひょっこりと顔を出し、「集めて手元に置いておきたい」という意識で本を選び出してしまいかねないのです。

そうやって本を買うと、読み切れない積読が増えるだけでなく、何を買ったのか忘れて同じ本をまた買う羽目になる。これでは『積読こそが完全な読書術である』で提示された「ビオトープ」の素材にさえなっていません。それは正しい積読ではないのです。

『百冊で耕す』には抜き書き帳を手書きで作成することが書いてありました。そんなことをせずにパソコンでコピペしてデータベース化すればいいじゃないか、と思いますよね? でもそれでは本がただの「情報」になってしまう。「情報のストック」ではなく、「感情、思考のフロー」を作るのが抜き書き帳の目的だ、と近藤康太郎氏は書いていました。きっとこのショーペンハウアー先生のいう「はるかに価値がある」こととは、けっしてただの情報ではなく、考え抜いた自分の知識、ということでしょう。ただの情報なら今の時代、AIが拾ってきてくれますからね。その後が人の仕事、ということです。

そして、「読書について」の章ではあの有名な文が出てきます。

読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。他人の心の運びをなぞっているだけだ。

読書について

「えっ? じゃあ、読んじゃダメなんですか?」と言いたくなるけど、

紙に書き記された思想は、砂地に残された歩行者の足跡以上のものではない。なるほど歩行者がたどった道は見える。だが、歩行者が道すがら何を見たかを知るには、読書が自分の目を用いなければならない。

読書について

となるので、やはり自分の頭で読んだ後は考える必要がある、ということを示唆しているのでしょうか。

他にもあちこちに「んん?」と思う箇所がふんだんにある本です。KindleならUnlimitedで無料で読むことも可能です。興味を持ったならぜひ一読してみてください。何かしら「ドキッ」とする表現に出会えると思います。

今月もチャレンジにお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました。11月読書本チャレンジ、これで終わりといたします。また来月1日から「何か」のチャレンジを始める予定ですが、今はまだ予定は未定、と……ブックレビューではない、エッセイを別に始めるかもしれません。

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