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「中間日本語」って何だろう?〜『日本語が見えると英語も見える』〜【10月英語本チャレンジ16】

今日はタイトルだけは昨日の『英語と日本語のあいだ』とタイトルは似ている本です。

本書では「中間日本語」という言葉が出てきます。日本語を英語にしようとしたとき、そのまま訳すことはできないことが多い。英語に転換可能な「中間の日本語」という意味で使われています。

たとえば、日本語は主語がない場合がありますよね。例として、川端康成の雪国の冒頭部分が英訳と比較されています。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

これが英訳されると、こうなる。(サイデンステッカー訳)

The train came out of the long tunnel into the snow country.

川端康成の原文では主語がない。というか、トンネルを抜けたのが語っている主体の自分なのか、列車なのか分からない。しかし英語に訳そうとすると主語が必須。だからここで"the train"が主語で文章が成り立っている、という訳ですね。

他にもオノマトペがあげられています。オノマトペとは擬態語、擬音語と呼ばれるものです。私たちも普通に使っていると思います。ところがこれを英語にしてみて、と言われるとハタと困ってしまうことが多いのです。本書には、「よぼよぼの老人」「ぼろぼろの毛布」などの例があげられています。それぞれこういう英語にすればよいのではないか、となっていますが、どれもこれもストレートにはなかなかいかない。そこで「中間日本語」を考えてから、それを英訳するという作業になる訳です。

日本語を10とすると、私は英語を6割程度しか運用できていない、と思っています。その大きな理由のひとつが、このオノマトペなのです。日本語のようにオノマトペが使えないと、特に会話において自分の思い通りに表現できた気がしません。もちろん、語彙の不足や表現の未熟も大いにあります。だけど、どうも「足りない」気がするのです。

そういえば昔、まだ駆け出しの通訳だったころ、とあるアメリカ企業の社長の逐次通訳をやったことがありました。打ち合わせや準備は部下のアメリカ人社員とやっていたところ、彼が「うちの社長はカラフルな言葉を使うからねぇ」と苦笑していました。日本語で色彩豊かに話そうとすれば私の場合は日本語的なオノマトペが欠かせません。英語でカラフルってどうだったのか、実はさっぱり覚えていないのですが、オノマトペと日英の比較を考えるといつもこのことを思い出します。

昨日の本にあったように、日本語と英語の往き来が足りなくて消化しきっていない部分なのでしょう。少しでも解消できるように日々努めていきたいと思います。

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