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英語と日本語の比較に終わりはない〜『英語の発想・日本語の発想』〜【10月英語本チャレンジ17】

英語をあつかう者としていつになっても二つの言語のあいだで揺れ動く人生だな、と今になって思います。今日は外山滋比古の本を取り上げます。

外山滋比古、といえば、東大・京大で1番読まれた本、という帯で有名になった『思考の整理学』で有名ですが、そもそもこの方は英文学者でいらっしゃったのですよね。この本はずっと本棚にあった本です。いつ買ったのかも覚えていません。たぶん、大学生の頃か、卒業してから通訳の修行をしてた頃に買ったんじゃないかな、と思います。そして数年前に読み始めるまで、中身をろくに読んでいない、という……本好きを自称するにしてはお粗末な有様です。

本書では、英語と日本語の違いを、構造、語法、文体、文化、論理などの面から論じています。元はNHKのラジオ英会話のテキストのコラムだったらしく、ひとつひとつの項目は短めに収まっているので、とても読みやすいです。読みやすいのだけど、英語と日本語のあいだに立ち続けている私には引っかかるところが多すぎて、なかなか読み進めないでいました。

昨日紹介した本でも触れたオノマトペ。本書ではオノマトピーアと記されていますが、それについても書いてあります。

「こどもの読みものならやさしかろう。そう思って外国語の学習者がのぞいてみると、これがさっぱりわからなくて、ショックを受ける。知らないことばがつぎつぎあらわれるのである。その多くがオノマトピーア、さもなければオノマトピーア的な聴覚的要素の豊かな単語である」

確かにその通り!
こども用の読みものをなめちゃいけない。杓子定規に学校で英語を習ってきた身にとっては鬼門といってもいいぐらい。日本語のコケコッコーが英語ではcock-a-doodle-dooになる、というのは知っている人も多いと思いますが、フランス語ではcocoricoとなき、ドイツ語ではkikerikiとなるそうです。言語によって音の認識の仕方が変わる、よい例かもしれません。

そういえば、『花よりも花の如く』という能役者が主人公のマンガがありまして。その中でアメリカ公演に出かけたとき、「ポン!」という小鼓の音が "POM POM" と聞こえるような世界でいったい能の世界はどう映るのか、と主人公が悩んでいたことをふと思い出しました。ことばは思考をつくる、最初の材料になるのでしょうね。コケコッコーの世界に生まれたらコケコッコーの感性を、cock-a-doodle-dooの世界に生まれたらcock-a-doodle-dooの感性を持つようになるのは、よく考えると至極当然のことかもしれません。

この数年で気になって読み出した本の中に渡部昇一の本が高確率で入っています。自己啓発、社会科学系など多くの著作がある方ですが、もともとは上智大学の英語学者でいらっしゃいました。外山滋比古、渡部昇一、と日本のことについて多くの著作があるイメージの方のバックグラウンドが英語、というのはなんだか分かるような気がします。ただ話せるだけ、日常会話ができるだけ、ではなく、ふたつの言葉のあいだに立つと、どうしても母国語との関係からか、思考を深める方向に行ってしまうものなのでしょうか。両者とも既に故人ですが、いまだに読み切れない著作の中から学ばせていただいています。

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