読まない方がよいことも、ある? 〜『読んでいない本について堂々と語る方法』〜【11月読書本チャレンジ8】
今日取り上げるのは、『積読はこそが完全な読書術である』でも大きく取り上げられていたバイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』です。昨日の『人生を変える読書』でも出ていましたよ。
こんなに(?)読書界では有名な本のようなのに、私は最近まで知りませんでした。いやはや、この本面白すぎる!
そもそも「本を読んだ」とははたしていかなる状態なのか、そしてそれに対して「読んでいない」とはどうなのか? そんなこと今まで考えたこと、ありました? なんとなく、「読んだといえば、全部最後まで読んだってことでしょ?」と思っていませんでしたか? 私も無意識に読了といえば最後まで読んだこと、と理解していたように思います。
バイヤールは「読んでいない」本を次のように分類し、第1章はその説明に当てています。
そして本書で引用やコメントをする本には脚注で略号を使って上記の分類が記されています。ほとんどが欧米の作品ですが、第3章では夏目漱石もその中に登場します。引用されているのは『吾輩は猫である』、バイヤールの評価は「流し読みの◎」でした。なんだかホッとしてしまいました。
バイヤールが「読まずともよい」というスタンスを取るのは、読むとかえって害になることもある、と主張していることにも関係しているようです。
読書のパラドックス……多読、精読、速読といろんな読み方がありますが、ポイントはやはり、読書で何を得られるのか、ということではないでしょうか? もしくは何を自分が得ようとしているのか。ただの知識を得るためではなく、たくさんの本を横断しようとするなら多読、速読で駆け抜けるでしょうし、たとえ精読や熟読をするとしてもあくまで自分のスタンスは本から一定の距離を保っておくことが大切なのでは、と思いました。
なぜかというと、最後にバイヤールがこう書いているからです。
これだけ見ると「???」となるかもしれませんね。でも流し読みでもこの本をサラリと読めば、バイヤールの考え、そして情報があふれている今の時代の乗り切り方のヒントになると思います。そうすればこの本を「堂々と語る」ために十分足りる、となりますね。
本書は考えたこともなかった意外さと、うっすらと思っていたところを言語化されたようなスッキリさがあいまって、私にはとても面白い本でした。折々のタイミングで見返すことになりそうです。
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