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読み聞かせは「脳」に効く!〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−2】

昨日に引き続き、『プルーストとイカ』を読んでいます。PartⅡはまさに私の知りたいことが書いてある核心のような感じがしています。はたして、どうなるのか?

子どもの頃に親から本の読み聞かせをされると……

本好きな子になる?
勉強もできる子になる?

いろいろいいことあるとは一般的に思われていますが、本書でまず説かれているのは、「認知システム」に大きく影響を与える、ということです。どういうことかというと、字が読めるようになる前にまず、この世界にあるものはすべて名前がある、と学ぶことを意味します。自分のうちのネコであれ、好きな人であれ、そして大好きな絵本の主人公(本書ではぞうのバハールが例に出ていますが)であれ、「何と呼べばよいか学ぶたびに、認知に大きな変化が起きる」のです。

幼い子どもの脳はまだまだ未発達です。視覚、認知または言語などのシステムは最初はバラバラです。そのバラバラなシステムからの情報を「接続、統合する能力」を人間の脳は備えているそうなのです。読み聞かせをしてもらうほど、話しかけられるほど、子どもは自分の周りの世界の言語すべてが分かりやすくなり、語彙を増やしていく、幼児期はそういう大切な時期なのですね。

さらに言語力だけでなく、物語は情緒面でも大きな影響があります。物語の登場人物から、言葉と結びついている感情を学んでいくこともできます。しかも、読み聞かせなら安心できる大人のひざの上に乗ってくつろぎながら。「これは何?」「何て言うの?」という会話を繰り返して語彙を増やし、本の中の登場人物から、他人の気持ちを推しはかる社会性まで学ぶのです。

本を読む、字を読む、ということは目で見たものを認識して理解する、というある意味視覚野の特殊な使い方を脳に学習させねばなりません。昨日もPartⅠから書いたように、字を読むという行為は遺伝するものではなく、生まれてから学習することによってのみ獲得する形質だからです。

言語能力は一般的に左脳がになっていると言われます。ですが、幼児期に最初に読むことを学び始めた子どもは、左脳どころか、右脳の領域も大きく使用して「一生懸命に」文字の解読に取り組んでいるのだそうです。それが読むことに慣れてくると、ほとんど左脳だけで、しかもあまり多くの領域を賦活させずに読む高速回路を手に入れる、というのです。

だんだん、読むことについては効率がよくなる訳ですね。そして次の段階としては、本を読みながら考えたり、感情が動いたりする場合には、また右脳まで動員して本を読んで思考する推論を生成したり、推論を統合したりするのです。

本書にはこうあります。

「大人になってから障害を通じて、読字の熟達度がどこまで変化するかは、何を読むか、どのように読むかによって決まると言っても過言でない」

読めば読むほど読書スピードがアップする、というのはいろいろな読書術の本にもありますが、それは知識が増えて読み進めるのが速くなる、というだけでなく、情報の処理速度そのものが高速回路の適正化によってどんどん向上していくのですね。

そういえば、脳内科医の加藤俊徳先生の著書『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』にもありましたが、実際によく使う脳は使われた部分が物理的に発達するそうです。MRIで見ても「白質」と呼ばれる、大脳皮質の中にある神経繊維でできた部分が成長して脳内をつないで、まさに高速回線を生み出すそうです。

目で見た文字を認識、統合して理解していく。そのプロセスを繰り返す、つまり本を読めば読むほど、「読書専用高速回線」ができていく。もう脳も筋肉と同じでトレーニングするしかないではありませんか。

明日はPartⅢ「脳が読み方を学習できない場合」ということで、ディスクレシア(読字障害)に関することが書いてある部分になります。ディスクレシアといえば、有名なところでトム・クルーズが有名ですね。台本を読んでもらったり、録音したものを聞いて覚えたりしたそうです。

最後の本書のまとめも楽しみです。

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